第1章の完結後、2005年に短期集中で復活連載された長編「オペラ座館 第三の殺人」を初ドラマ化。原作では3度目のオペラ座館で堂本剛版で初代がドラマ化されていたものの、本作では今回が初登場なので2週連続でタイトルを改題。最終回となった。
(以下、原作のネタバレ含む感想。)
前編
故・黒沢和馬の追悼公演を観るべく、剣持警部の誘いでオペラ座館へ訪れた一達。今作では過去の事件が存在しないので、故・黒沢オーナーは剣持の友人ということに。そして、舞台は絶海の孤島…ではなくロープウェーで遥々山の上という何故か真逆のロケーション。「聖恋島」で孤島ロケの予算を使い切ったのだろうか…。
現オーナーの響静歌に迎えられ、偽の招待状を受け取ったルポライターの白神も乱入しつつオペラ座館へ入るが、早速劇団員の一人がシャンデリアドーンで死亡。その後には捜査中に剣持が襲われて行方不明になってしまい、更に一人死亡。2年前に行方不明となった団員の霧生鋭治がファントムとして蘇ったのでは…と囁かれ始める中、地下室を見つけた一達は乗り込むものの、一が何者かに足を掴まれて引き摺りこまれてしまい次回へ。
要所要所を変更しながらも流れは概ね原作通り。元々かなりの長編大作で(第2期では一番好き)、2007年にSPアニメ化された時は1時間で超圧縮されてしまい、だいぶ別物になってしまっていたので原作準拠の映像化は嬉しい。
ただ、一部は大きくキャラチェンジされており、白神はズレた推理で一と対立するものの本人は至って真面目なイケメンの探偵役だったはずだが、その要素が全部消えてしまい、偽インパルス板倉のような風貌でただ嫌味を言って空気を悪くするだけの嫌なキャラに…。まあ、ミスリードに引っ掛かる担当なのでこっちの方が潔いといえば良いんだけどな…。
レオナもだいぶ性格が変わり、か弱い美少女ではなくちょっと天然で気の強いサバサバ系女子に。これはこれで可愛いのであり。
後編
地下室で一を襲撃したのは監禁されていた剣持だった。無事を喜んだのも束の間、更に1人殺されてしまい、再び事件現場を洗い直してトリックを解くことに。
その中で部屋にゴキブリが現れ、慌てふためく一を他所に佐木が暖炉に投げ捨てたことで密室のトリックが一つ解けたが、あまりにも慌てる一に美雪が「金田一耕助の孫なんだからしっかりしろ」と言うと「一のジッチャンって金田一耕助だったの??!」と剣持が驚くという謎のギャグシーンが追加。
な ん だ っ た ん だ こ れ
確かに金田一耕助という存在自体が連載開始時よりも太古になってしまい、また今更説明不要ということもあり、一が金田一耕助の孫というのもあんまり触れられないようになってきたので(今作も初回で美雪がナレーションしたのみ)、今一度耕助の存在を掘り起こそうと思ったのかもしれないけど、あまりにも唐突すぎてなんだったんだコレ…。
ということで、犯人はレオナ。霧生とは実は恋仲で誘拐と思われていた失踪も実は駆け落ちだったが、死んだ劇団員3人がスター女優のレオナを取り戻すために霧生を泥酔させて樹海へ置き去りにして殺害。この辺は背景がだいぶ簡略化(原作は加えて劇団員3人が過去に合宿で火事を起こして大量の死者を出しており、3人へ自首を勧めていた霧生を口封じで殺害。その後、レオナが偶然ロケで訪れた樹海で霧生の遺品(3人への恨みを書き連ねた日記)を発見して殺意が芽生えた)されたが、霧生が行方不明になって数日後、そのことを控室で3人が喋っていたのをたまたま聞いたレオナは静かに復讐を決意。
既にターゲットは全員殺害しており、後追いで自分も死ぬつもりだったレオナはその場に火をつけて自殺を決行…したが、一が飛び込んで救出。今もなお霧生に見守られていることを感じたレオナは死を思い留まり、事件は解決となった。
まあ謎のジッチャンギャグや終盤は駆け足気味ではあったけど、大元はそのままじっくり映像化されていたし、偶然か意図的か最後は一が犯人を死なせず助け出すという締めになったのも気持ちよくて良かった。
また、最終回なので最後は学園のカットに。相変わらず釣れない一に美雪はヤキモキするが、「事件になると見てくれなくなる」という美雪へ遂に「見えなくなるわけないだろ、ずっと見てる!」と語り掛ける一…の視線には一達をニヤニヤ隠し撮りする佐木というギャグ。そのまま、最後まで一は美雪になびかないまま本作は終了となった。
うーん…かなりサッパリした金田一少年だったな…とは思いつつ、毎週なんだかんだ楽しみに観ていたので悪くは無かった。美雪に鈍感な一&一を崇拝する佐木の構図は正直オーバーに描かれすぎてて、むしろ佐木がヒロイン状態だったのは謎だったけど、剣持警部は歴代で一番の存在感だったし、何よりも高遠が全く登場しない初期の世界観で描かれたのは良かったと思う。
日本謹製ホラー&現代版リメイクを謳って、活かせそうなエピソードをチョイスしたにも関わらずホラーな展開もリメイクされるべき描写も何故か敢えてカットされてしまう話が多かったのはやっぱり色々な制約があったんだろうか…。ただ、リメイクは学園七不思議でも10年前の事件が2012年という超現代になり、金田一少年の殺人でもポケベルからスマホに発達した今では暗号でやり取りする必要も消えてしまい、抗えない時代の流れもあるか…。今「電脳山荘殺人事件」を映像化したらめちゃくちゃ話変わりそうだよね。
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