金田一少年の事件簿(2022)「トイレの花子さん殺人事件」 感想

1999年連載の短編「亡霊学校殺人事件」を初ドラマ化。初回以来に第1期のチョイスで、歴代初の短編作品ドラマ化となった。

(以下、原作のネタバレ含む感想。)

 

学校で卓球の話となった一と佐木はそれぞれの父が日本代表、ジッチャンが町内会のシルバーチャンピオンという話で口論になり、卓球勝負で決着をつけるために美雪を連れて佐木の親戚がやっている民宿へ行くことに。事件のキーワードが卓球だったからとはいえ何でそんな強引な展開に…。というか金田一耕助が町内会の卓球シルバーチャンピオンって初っ端からツッコミどころ多すぎる超設定…。

足を運んだ民宿では美大生集団が合宿をしており、成り行きで一達も肝試し大会へ参加することに。ここぞと佐木が再び一と美雪の仲を取り持とうとして空回りするオリジナル展開が盛られつつも、美大生の一人が肝試し中に行方不明になり翌朝死体で発見されてしまった。

その後は警察が駆けつけるも、現地警察がポンコツで頼りにならない一は剣持警部に電話で手助けを要請。捜査情報を横流ししてもらい、雑談の中でトリックにも気付き謎が解決。現地の警察が無能というか捜査一課が即座に優秀すぎでは…?夜には警察をハブって美大生達だけを集めて推理ショーを行い、犯人は被害者に弄ばれた妹が自殺したことによる復讐だったことを語り事件は終幕。

最後は一が犯人に「事件前に肝試しを一旦中止にしようとしたのは復讐を止めてほしかったからじゃないのか?」と問いかけ、即否定されるが残るものもあり、少し切ない終わり方にはなったものの、諸々の改変やカットで内容自体はかなりあっさりさっぱり

原作では美雪が肝試しにビビって一に助けを求め、ズルを行っていたことが犯人を裏付ける決定的な証拠になっていたが、ドラマでは逆に一がビビりまくりで美雪が先導しまくる謎の改変。ズルの全カットは尺の都合で仕方がないとはいえ、美雪が絶対的な信頼を一に寄せていることを確信させる一幕でもあったはずなのに、今作の一は恋愛感情皆無の超鈍感な上に吊り橋効果で一がときめくのは佐木という只のジャニーズサービスシーンに…。

そして、一番肝心な「死体に赤いちゃんちゃんこを描いたのは犯人ではない」という残された謎もまさかのオールカット。それはないだろ…。これだけが最後まで明かされずに一が謎に苦悩するまま物語が終了し、本当に花子さんの怪談だった…っていう日本謹製のホラー要素だったんじゃないのか…。というかそれでこの話を選んだんじゃなかったのか…?

という感じで、事件のチョイスはドラマのコンセプト通りだったのに重要な部分を削りすぎてて本当にこれで良かったのか?とは思ってしまった。単に制作予算が少ないのか、ジャニーズを目立たせないといけない制約が生まれたのか、コンプラが厳しくなったのか…。

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