知床の海難事故を受けて1週間放送を延期(海と孤島が舞台で、恐らく海に引きずり降ろされるシーンが何度も描かれることや水死体が発生するのが決め手になったと思われる)。まさかの堂本版金田一を急遽再放送し、1週遅れての放送となった。
初期作リメイクだった初回から打って変わって2017年の事件。「R」シリーズの末期に連載された最終作1つ前のエピソードで、当時はほぼ惰性で流し読みだったものの、全15話で原作歴代2位クラスの長さを誇った長編である。そんな人気作だったのか…。
(以下ネタバレ感想。)
勉強をサボって佐木と一緒に何故か釣りに興じていた金田一は、偶然居合わせた剣持警部に誘われ、美雪も加えて孤島のフィッシングツアーに参加することに。到着した聖恋島にはその声に惑わされた人間を海へ引きずり降ろして喰い殺す「セイレーン」の伝説が言い伝えられており、島へ終始響き渡る不気味な声に導かれるようにツアー参加者が次々と殺されていき…。
原作では釣り大会の最終決戦の場所として聖恋島へ辿り着き、TVロケのやらせ演出で無理やり悪天候のまま大会が行われる中事件が起きるという若干強引な展開だったが、流石にTVでそのまま描いたらシャレにならなドラマでは一達と剣持もまだ知り合ったばかりということで、原作よりはスムーズな流れに。そのため数名いたTV局の人間や大会参加者の一部をカット、代わりにツアーガイドの凪田が新登場。
事件の順番も変わって最後の事件が第一に発生する流れになり、「金田一少年」名物の明らかに胡散臭い医者集団から早速一人が矢で撃たれ絶命。翌朝には食糧庫が荒らされ、釣りへ向かったもう一人も海に引きずり込まれて溺死。ツアーガイドの凪田はかつて同じ病院で働いていた看護師だったが、投薬ミスの責任を押し付けられてクビになった経緯も語られ、やっぱり「金田一少年」世界の医者にロクな奴はいない殺される理由がありそうなことが判明した中、剣持達はセイレーンの住処を発見。殺人の糸を引く鳴き声の正体に迫りつつ次回へ。
なんか原作では大挙して登場した割に出番が無かった(代役で事足りる)人達を削除し、存在感バリバリの女将余貴美子、ミステリアス生田絵梨花、ミスターサスペンスドラマ小市慢太郎といった濃いキャラが良い感じのアレンジで残った中、生き残った偉そうな医者のおっさんとツアーガイドの凪田さんが医者集団の黒い過去を語ってくれるという、凄い見やすい流れに。原作から肉付けというより、内容が整理されて話が纏まったっていう印象。加えて、セイレーンの鳴き声がヒントになることや、割と初期ばりに殺害方法がエグいことも含めて、いきなり抜擢されるぐらいにはドラマ映えする事件だったのかもしれない。原作読んでた当時よりも面白く感じた。
ただ、今週で一と剣持の仲が深まる(互いに「オッサン」「一」呼びになる)展開が挟まれたが、その一環で海に引きずり込まれた第二の被害者を助けに飛び込む役回りが剣持から一に変更。荒れた天気の海で当然速攻で溺れかけ、焦って剣持が救助している最中に互いに呼び方が砕ける…という流れはまだそんな仲良くなっていない中、2話にしていきなり唐突だったような気も…。
また、容疑者の役職が一名マイナーチェンジされていて、原作の伊豆丸(小市慢太郎)はずっと医者集団にゴマを擦っているゴマスリ製薬という会社の営業マンだったが流石にマズいと判断されたか、医療機器メーカーの営業マンに。初回に続き、今の情勢へ気を遣ったように製薬会社への配慮に余念がない。
あと、生田絵梨花のミステリアスな演技が存在感抜群でハマっていて思わずゾクっとした。乃木坂卒業して女優になってから見ていなかったので、ベテラン役者が並ぶ中、正直ここまで怪演を魅せてくれる人とは思わずびっくり。いや、普通に他の出演作も観たいな…美しかった……。
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