2024年視聴2作目。
2021年から制作されるようになった、劇場版に先駆けた「名探偵コナン」のTVアニメ総集編シリーズ。年々複雑になる人物構成で映画ユーザーを置いてけぼりにしないようにその年の映画でピックアップされる主要人物に焦点を当てた総集編となっており(21年は赤井一家、22年は金曜ロードショーで「本庁の刑事恋物語」、23年は灰原哀)、今年は『100万ドルの五稜星』に先駆け怪盗キッドが主役となった。
主題歌も用意され、WANDSの書き下ろし楽曲「大胆」がエンディングで使用された。
怪盗キッドの総集…編?
そんな感じで怪盗キッドの活躍を振り返る趣な1作だったが、総集されたのはコナンとの出会いと新一との対決、2004年放送の356話(44巻)「怪盗キッドの驚異空中歩行」の3点。
まあ、確かに「まじっく怪斗1412」でもキッド視点でアニメ化された代表作ではあるし、確かにクール路線だった初期代表作のキッドはかっこいい。ただ、1作1作に脈略がなく、コナンとの出会いや対決が協調されてるけど今回戦うの平次じゃね?とか、最新が2004年なのか…戦ってるの平次じゃなくて次郎吉おじさまじゃね?とか、色々とツッコむことが多く、結局「100万ドルの五稜星」に先駆けて総集するのそこなんだ?、の一言に尽きる。
平次は?
映画「100万ドルの五稜星」は服部平次がW主役のはずなのに、本総集編に平次は一切登場しない。
そもそも、平次とキッドの絡みが最初の予告から色濃くアピールされているものの、平次とキッドの共演は極僅かで、映画を除くと2020年放送の983~984話(96巻)「キッドvs高明 狙われた唇」しかない。
今作で因縁っぽく描かれているのは「キッドvs高明」でキッドが和葉に変装したからで、このエピソードが「100万ドルの五稜星」の前日譚なわけだけど、総集編にするには話が新しすぎ&前後編2話だけで短すぎるし、キッドvs平次の主な展開が平次がキッドを和葉だと勘違いしたまま告白しようと迫ろうとするアホシーンが描かれるのみ、諸伏高明警部もメインで登場する(ラストでスコッチが高明の弟であることが判明する)…など、映画スケールで振り返るには色々と浅い&説明がややこしい始末。京極さんの時も1回バトルしただけで映画になったし、直近の原作では安室と対決してたし、近年のキッドはコラボ相手として便利な扱いされてるなあ…。
キッド以上にズラリと再登場&新登場する平次サイドの人間達(紅葉、伊織、沖田総司)を紹介した方が良かったんじゃね?とも思うものの、彼ら彼女らこそキッドと無縁だし、平次関連の展開はずっと平次和葉がくっつくのを待っているだけ(この数年で平次が遂に和葉を意識し始めるものの、告白しようとする⇒事件が起きる⇒タイミングを逃す、を延々と繰り返している)のようなものなので、出番も少なく特に紹介することはない状態だしなあ…という…。むしろこの数年で紅葉の家が羽田一家と関わっていることや伊織の経歴が明かされる等、もしかして平次和葉よりも今後そっち方面で掘り下げられていく可能性の方が高いんじゃ
そんな扱いづらい流れなのか、「キッドvs高明」は2024年3月に新規映像を含めてサクッといつもの時間帯でTV再放送され、こっちが映画への予習的役割になってしまった。この総集編映画の意義…。
ということで、21年&23年みたいに映画への予習的な要素はなく、怪盗キッドの初期代表作を大画面で味わえることに価値のある1作だった。あまりにもキッドを押し出したプロモーションといい、あくまで今回の稼ぎ頭はキッドということだろうし、主題歌まで用意する気合いの入れっぷりなので、久々のキッド登場への気持ちを高めるのには悪くないとは思う。
ただ、この総集編だけでは結局何故キッドと平次が戦うのかは全く分からず、予習総集編としてはあまりにも意味が無いので、なんだか肩透かしだったのは否めなかった。よっぽど好きな人物がメインにならない限り来年は本編だけでいいかな…。
vsキッドと平次和葉のラブロマンスという交わりようが無い要素がどこまで絡み合うのかは改めて読めなさすぎて、映画本編自体は楽しみである。
コメント