名探偵コナン 時計仕掛けの摩天楼

1997年公開。96年からテレビアニメ放送が始まり、1年で早速映画化された。当時のレギュラーキャラが総集結されたが、この頃は灰原いないし、平次、高木&佐藤刑事も未登場。目暮、蘭、小五郎、阿笠博士、少年探偵団3人ぐらいしかいなかったので今振り返るとなんとも淡泊な…。また、映画オリジナルキャラクターとして白鳥警部補(当時)が初登場した。

新一の元へ建築家・森谷帝二からパーティーの招待状が届けられた。当の本人はコナンになってしまっているので毛利一家に代役してもらうことでやり過ごすが、代わりに蘭と5月3日の誕生日に映画館デートすることになってしまう。しかし当日、コナン(新一)の元へ米花町に爆弾を仕掛けたと脅迫電話が入る。爆破を防ぐために街中へ飛び立つコナン。それと同時に世間では連続放火事件が発生しており、なんと全てが森谷帝二の建築物で…?

 

登場メンバー自体が少ないのでかなりストーリーがシンプルに進んでいく。序盤の半ばおまけシーンで殺人事件は起きるものの、実質殺人は起こらずに爆破事件モノなので重くなくライトに見られる。そして事件と並走して当時は色濃いコナン要素だった新一と蘭のラブロマンスもメインストーリーに。今だと解毒剤で少しは元に戻れるし、頻繁に連絡取りまくりなので会えない切なさもへったくれも無くなってしまったけど、当時は解毒剤も何も無かったし今ほど携帯も普及していなかったので、割とマジに真剣なメイン要素だった。というかこれぐらいしかまだストーリー動いてなかっ…毎回映画の予告で「しんいちいいいいいぃぃ!!」「らあああぁぁん!!!!」とシャウトしまくってる割には新一と蘭のラブシーンって映画じゃあんまり描かれないのでけっこう貴重だったり。特にラストシーンは歴代の新一&蘭のラブシーンでも必見級に切ない。事情を知らないメインキャスト視点で見ると、爆弾事件の捜査を小学生のコナンに丸投げして大負傷しても姿も見せず、米花タワーの爆破を防ぐや否や蘭に顔も見せずに去っていった最低ヤローだけどな…。

そして今の今まで続くドッカンドッカン連続爆発も第1作目から健在で、(原作では2度しか登場していない)スケボーをやたら駆使してコナンが縦横無尽に駆け回るのもここから健在。爆風で少年探偵団まで飛び散ったのは流石に作風の変化かこれは…。犯人の動機が凄まじくペラいのも健在。今まで続く映画版の大事なエッセンス(?)を第1作目から確立していることがわかる1作である。しかし事件のスケールは次回作以降どんどん上がっていくので、街中規模で爆破を阻止していくという爽快さをシンプルに味わえるのは初期ならではだったのかなとも思った。

 

しかし今のコナンとは違って灰原がいない(超重要)レギュラーキャラも設定もかなり少ない時期の映画だったので、今現代風にこの映画をリメイクしたらどうなるのかちょっと気になった。とりあえず、コナンが博士に「新一そっくりな精巧ロボ作ってくれよー」って言ってたのが「灰原、また解毒剤ちょっとだけくれよ!ちょっとだけ、な!」に変わるだろうなと…。爆破やスケボー捜査はもっとダイナミックになりそうだし、とにかく灰原が出ていない映画は全部灰原込みで作り直してほしいので現代版リメイクは見てみたい。

★★★★☆

戻る