Happy Birthday
「ちょっとぉ、もう〆切だよ!?」
「す、すみません…っぅ」
日は2月3日。アニメ研部室にて。
「前にももう〆切って何回も言ったでしょ?」
「はい…」
「それに、寝不足っぽいけど」
「…うぁぅ」
「あんまり原稿進んでないみたいじゃない…?」
「すみません…ぅぁ」
「…」アニメ研究部部長で人一倍〆切に厳しい八坂こう先輩、そしてその〆切に間に合わない私、田村ひより。
いつもなら恐らく逆境にもめげずに頑張るであろう私。
でも、初めて来たこの時期は、ある事に頑張りすぎて全く原稿に力が入らなかった。「…今まで何やってたん?」
「それは、大事なことッス」
「原稿より?」
「…はい。」
「…えっ?」「私からすれば、原稿よりももっと大事なものッス!」
これだけは、力強く主張できる。やっと完成させた、ある大事なもの。
「原稿より…大事?何よそれ?」
「これッス」私は渾身の思いで完成させたそれを手渡した。
「…これは…っ」
私が手渡したものは
こうちゃん先輩へのバースデーカード。自作イラスト付。
「…すみません、今時カードなんて流行らないッスけど…」
「…ありがとう」
「え?」「まさかひよりんからこんな凄いプレゼントもらえるなんて思ってなかったよっ」
「でっ、でもっ、こういう特定の人にメッセージを書くなんてやったことなくて、色々考えたけど文章グダグダかもしれないッスけど…」「そんなことないと思うよっ!私もひよりんは「大好きで大事な後輩」だよ!」
「本当ッスか?」
「ホントホント♪」「…ありがとうッスっ」
じゃあ、改めて言おうか。
「こうちゃん先輩、誕生日おめでとうッス!」
私の、たった一人の大好きな先輩へ。
「ありがとうひよりん♪…でっ」
「…へ?」
「原稿は仕上げようね?」
「…ふぇっ?」この祝福ムードと達成感の以前を遡ってみる。…あ、そうだ、もう原稿〆切なんだった…
「それとこれとは、話は別!」
「ふぇぅ、先輩、厳しいッスぅっ…」
「何言っちゃってんの。ったくぅ…」
「先輩私に元気をくださいよう…って――――ッ」不意に、私の唇にこうちゃん先輩の唇が重なった―――
「…ぅぁっ―――ぅ」
「…さぁて、これで完了ッ!」
「ふぁぇ?」「何って、こうちゃんパワーの注入!これで元気出たっしょ?」
「ふぁ…は、はい!」
「そうそうその意気!やっぱり笑ってるひよりんが一番好きだよっ♪じゃ、原稿頑張って!」
「はいっ♪」
私も、いつも笑っているこうちゃん先輩が大好きッス!
これからも、いつまでも私の大好きな先輩でいてください。
Fin
あとがき…うあー、やっと出来上がったこうちゃん先輩
(テニプリの桃ちゃん先輩風)誕生日記念作。今回もバリバリの百合モノですが…たぶんここしばらくは百合しか出てこないと思いますwひより×こうは一番好きなCPなのでまたやるかも。