「金田一少年の事件簿」OPレビュー

伝説とも言える(思い出した時しか言わないが)、俺が今まで一番はまったアニメが「金田一少年の事件簿」。主題歌、特に奇怪さやサスペンスを前面に押し出したOP陣は同時期に同じ枠で放送されていた「名探偵コナン」よりはまり込むものがあった。主題歌集としては放送中に『Justice』までを収録した主題歌集がリリースされているが、終了から10年以上経った2012年現在でも完全なべストはリリースされていない。出てほしい。

1st CONFUSED MEMORIES / 円谷憂子
1話('97年4月7日)~23話(9月8日)

このアニメシリーズ化の前に、アニメ映画として先に「オペラ座館・新たなる殺人」が上映されていて(キャストは全く別)、その時にこの人が主題歌を歌っていた縁でTVアニメ版でもOP担当となった。ミステリアスというか淡々とした一曲。初期は「学園七不思議」とか、ジェイソンに始まり後に比べてまだ残虐性と死体の生々しさが残っていた時期で普通に怖くて、今でもジェイソンのはちゃんと見てなかったりする。そんな初期の空気で、この曲の淡々さが本編の怖さを更に盛り上げていた。ミステリーアニメの主題歌としていきなりかなり本格的だった。しかし…この人は円谷英二の孫として小室プロデュースでデビューしたのにこの2曲で消えちゃったなぁ…。
★★★☆☆


2nd meet again / Laputa
SP('97年10月13日)~42話('98年3月16日)

放送半年で唯一の1時間SPが放送され、そこからOPが変更。コナンと同じミステリーモノなのに何故ここまでSP本数差が発生したのか…。ミステリーソングの前回から一転バッリバリのV系バンドが担当になった。かなりハードな一曲で、スリリングさを押し出したということなのか。かなり特徴的なV系ハイトーンボーカル(偏見)が強く印象に残る。「くぁ、なとぁっにっきこえぇったっ、あぁなたぁっへのめっろ~でぃ♪」のサビはこの翌年のPENICILLIN並か以上の破壊力を誇る。初期金田一では割かし有名な一曲。コナンで言う「Feel Your Heart」ポジション…かな?また、最初期割かしストレートだった描写も早速修正になったりだいぶソフトになって見やすくなった感も。次回から一気にデジタル作画に変わっていくので、一応ここまでが初期金田一。
★★★★☆


3rd 君がいるから… / 西脇唯
43話('98年4月13日)~69話(11月16日)

45話の「黒死蝶殺人事件 FILE 3」からデジタル作画に変わり、絵柄がガラッと変わった。今までOP前だった前説もOP後になり、以降の金田一アニメのフォーマットが出来上がった。凄惨さを抑えたソフトな描写も全面的に押し出していき単発のギャグみたいな回も増えてアニメ人気は上昇。主題歌のこの曲もポップさにポップさを重ねた爽やかな名曲だった。正直金田一=ミステリーとは殆ど関連ないような気がするけど、「金田一のために書き下ろした」曲ではあるらしい。子供の頃、再びハマった中1時代にも何度も見て聴いてたし、「君がいるから守り続けたい明日がある」の歌い出しのところからもう鳥肌。周りの友達の間でも「金田一といえばこの曲だよね!」と少しでも見ていた人なら誰もが知ってるぐらい人気曲だし、実際最終回でもEDとして使用された。是非07年の復活作でも使ってほしかった…。
★★★★★


4th BRAVE / GRASS ARCADE
70話('98年11月23日)~83話('99年3月15日)



一転してスリリングさを再び引き戻したロックナンバー。トンネルを駆け抜けるようなイメージのOP映像が印象的。これ以降のOP映像に繋がっていく過去映像使い回しもここから始まるけど、4回目ってまだ早すぎやしませんか。MOON CHILD「ESCAPE」みたく率直にハードにスリリングさを演出していてストレートにカッコイイ。さすがビーイング所属バンドだけあってタイアップに徹底っぷり。それでいてある程度爽やかだし(ビーイングの男性ボーカルだけあってポストB'z稲葉っぽいけど)キャッチー。ミステリー作品の金田一の主題歌として一番好きなのはやっぱこれかな。しかしそんな傑作なのに主題歌集から省かれたのは例によってビーイングGIZAが当時コナンとの一時枠入れ替えで手に入れたタイアップだったため。なんで入ってないねん!と借りた時から憤怒していたら、数年後にAmazonでマキシシングルが新品で売られていたので即購入。まだ在庫あるようなのでまだの方は是非早めの入手を。
★★★★★


5th Justice / 高山美瑠 with TWO-MIX
84話('99年4月12日)~105話(9月20日)

当時コナンのOPをTWO-MIXが歌っていたが、ここではTWO-MIXはプロデュースで高山みなみの従妹に歌わせている。しかしあまりにも声がソックリで調べるまでTWO-MIXがコナンに続いて歌ってたのかと思っていた。「銀幕の殺人鬼」「天草財宝伝説殺人事件」、短編では屈指のファン人気を誇る「殺意のレストラン」、実写映画化もされていた「上海魚人伝説殺人事件」がアニメ化され、主題歌ベストの収録範囲もここまでなのでここまでは知ってる!って人は多い…んじゃないかな?ひたすらにキャッチーなメロで「ダンダンダン!」みたいな派手なシンセサウンド。全編過去の映像を歌に合わせて使い回したOP映像も相まって非常にインパクトがあって覚えやすい一曲。迫るような空気も金田一に合っていていい。因みに、OP映像サビでの「ダン!」(シンセ音)に合わせてキャベツを切るカットが相当なインパクトを誇っていたが、あれは「鬼火島殺人事件」のワンシーン。
★★★★☆


6th Why?(FUNKY VERSION) / COLOR
106話('99年10月11日)~138話('00年7月3日)

サスペンス押しから一転ミステリーサウンド路線(?)に。「CONFUSED MEMORIES」+ポップさみたいな楽曲。OP映像の過去映像やシルエット連発が更にミステリー的な怖さを演出していた。この時00年、宇多田ヒカルやMISIAのブレイクでJ-POPシーンが一気にR&Bメインに変貌していった時期だったのでここぞと試してみたのかな。初期の淡々とした怖さというよりかはクールな女性ボーカルとトラックでカッコイイ雰囲気。結果的にミステリーアニメ金田一に最もハマっていて実際好評だったのかOPで最も長く使用されていた。俺も金田一OPでこの曲だけ当時シングルレンタルに走っている。しかしこんなに完成度高かったのに何故コナンみたいにトップ10入り、悪くてもトップ30入りしないのか…。最高48位。この後に金10枠ドラマのタイアップ(岸谷香が提供)を貰いつつも一向にブレイクできず、Buzyに改名して再デビュー。ポルノ晴一のプロデュースでMステにも出演しながらも06年解散したらしい。
★★★★★


7th Never Say Why,Never Say No / 566 featuring 中野さゆり
139話('00年7月10日)~最終話(9月11日)


終盤数ヶ月のみ使用されたのでアニメラストの印象が強い。前回に引き続きミステリー路線。そして最初期OP「CONSUFED MEMORIES」以来にあの時は部下の久保こーじに制作を投げていた小室哲哉がプロデュース、作編曲に登場!(作詞は小室みつ子と前田たかひろ)安室奈美恵の「NEVER END」や鈴木あみ末期の怪作群作品を手掛けていた時期だけあってJ-POP+トランスに凝っていたのだろうか。クールに淡々としたミステリーさを出しながらサビに向けての疾走感がたまらないTK末期屈指の快作に。しかも弟子の共作じゃねぇ!ボーカリストはソニー主催の「金田一少年の事件簿ボーカリストオーディション」という謎のオーディションに合格した新人中野さゆり。ラップはマーク・パンサー…かな?中野さんが高音ボーカルなのでマークだとまんまglobeだけど…。アニメは数年ぶりに高遠や怪盗紳士を登場させるも逃げられたまま。特に高遠は原作ではアニメ最終話「怪奇サーカスの殺人」後の事件でちゃんと逮捕されて大団円を迎えるのに、アニメでは原作終了に合わせてその前に終了させてしまった…。…のでアニメ終わりは非常に中途半端感が強い。スタッフとしてはオーディションまでやったくらいだったのでやっぱり続けたかったんだろうか。金田一原作20周年、当筆者は再アニメ化を待ってます。
★★★★☆

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