B'z シングルレビュー~1988-1998~

25周年ベストアルバムリリース記念。実は今までB'zのデビュー曲から最新曲までのシングルを全部追えるベストって存在してなくって今回が初めて。50枚に渡るシングルA面レビューを分割でお送りします!MOMAさん、SASAさんとこのシングルレビューも併せてご覧頂けたら。

1st だからその手を離して
1988年9月21日発売

1stアルバム『B'z』と同時発売された記念すべきデビューシングル。にして100位圏外で全く売れなかった曲であり、レコード会社の版権問題もあって25周年ベストまで一度も正規ベスト盤に収録されていなかった不遇の一曲。そしてそんな今や現役バリバリの日本を代表するロックバンドB'zのデビュー曲は…なんと80'sなダンサブルソング。TAK MATSUMOTOのギターはイントロ間奏のフレーズ以外どこに聴こえるのかというぐらい打ち込み全開で、終始PVでクネクネ踊ってる若き日の稲葉さんにも衝撃…いや、戦慄が走る。その割に曲そのもの自体はキャッチーなので良くも悪くもインパクト込みで一発で覚えてしまう驚異のデビュー曲。メガヒットしたPleasureや20周年時のウルプレではことごとく無視されていたので、この機会に初めてデビュー曲を聴いたって人はあまりに方向性が違い過ぎてて心臓抜かれた ってレベルで思考停止するんじゃないだろうか…。それぐらいに今(どころかミリオン連発期とも)と路線がかけ離れてて異色。しかし、リテイクベストの『Mixture』ではロックバンドサウンドでリアレンジされているのでそっちは俺世代B'zファンでも聴きやすいロックソングと化しているのでおすすめ。

★★★☆☆

2nd 君の中で踊りたい
1989年5月21日発売

2ndアルバム『OFF THE ROCK』と同時発売。「おっどりたい君っの中でっ♪」のサビが印象的な前作よりは割かしロックなダンサブル曲。この時期にしてはかっこいい雰囲気が出ていて割かし好きな曲ではあるんだけど、稲葉さんの声がこれマジで稲葉さん?ってぐらい硬い。割とマジでこの10年後に「ギリギリchop」を歌い上げる稲葉さんをここからは想像できない

★★☆☆☆

3rd LADY-GO-ROUND
1990年2月21日発売

3rdアルバム『BREAK THROUGH』と同時発売。ここまで3作連続でアルバムプロモーション用のシングルリリースだった。そしてB'z90年代の幕開けと共にO社に初チャートイン(39位)を果たした記念すべき作品であり、アルバムの方も3位にランクインしてブレイクへ向かって行った。曲の方も今までで一番ノリもダンスもバブリーハイテンションに突き抜けている。歌詞に百人一首が入っているところが妙に記憶に残る。次回作から快進撃が始まるのでここまでが初期3部作だが、どれも稲葉さんの若さがハンパじゃなく25周年ベストを手に取る人には聴く/観る価値満点。だいぶ人を選ぶ と思うけど…。

★★☆☆☆

4th BE THERE
1990年5月25日発売

7位にランクインしたブレイク作。03年に再発売された時には一番売れたので13年越しに3位に記録更新している。非常にギターが迷子な打ち込みは変わっていないが、イントロの込み入った打ち込みサウンドはハマる。さすがトップ10入りし始めてきただけあって一気に垢抜けてきたなーというイメージ。

★★★☆☆

5th 太陽のKomachi Angel
1990年6月13日発売

僅か1ヶ月でのリリースにして初の1位を獲得。これが現在まで続く連続1位獲得記録のスタートである。確かにキャッチーさとインパクトは格段に増してるんだけどやっぱり「あの子は太陽~のこまちっ、エ~ンジェ~ル♪」のハイセンスでイケイケなサビがどうにも…。マジでB'zの1位スタートがこの曲なんかよ?というのは今でも拭えないんだがこれは俺が「愛のバクダン」当時で中学生だった世代だからであって、当時はこういう路線のユニットとしてブレイクしていたという事なんだろう。きっと。25周年ベストに収録されたライブ映像でも観客を煽るTAK MATSUMOTOと稲葉さんの超笑顔イケイケっぷりが必見。アイドルか!

★★☆☆☆

6th Easy Come,Easy Go!
1990年10月3日発売

3週連続で1位を獲得。ここで初めてB'zにロックバンド要素が舞い降りたが、まだまだポップ全開でライト寄りなロック。ダンサブルというよりかは非常に陽気で口ずさめるポップス路線になっている。PV代わりの25周年ベスト収録のライブ映像では稲葉さんがアコギを持って熱唱していて、最後のラララララ~♪といい凄く大団円での合唱曲に合ってそうと思った。映像を観てこの曲の好き度が急激に高まってきた。

★★★★☆

7th 愛しい人よGood Night...
1990年10月24日発売

前作が3週1位獲得していた翌週に1位獲得。通算4週連続1位獲得でB'z大ブレイク旋風待ったなし!初めてドラマ主題歌に起用された初のバラードシングル。非常に渋~い名曲風なバラードなんだが…淡々としていてかったるく感じてしまう。6分越えは長いしうーん、未だにメロディーが覚えられない…。未だ小粒という印象から抜け出せない。なんとなく、タイアップ先のジャンルでもある刑事ドラマのEDバックでうっすらかかっていそうなイメージではある。

★☆☆☆☆

8th LADY NAVIGATION
1991年3月27日発売

初ミリオン達成シングル。化粧品のCMソングでミリオンセラーっていうのがすこぶる時代を感じる。そしてそんな爽やかなタイアップに合わせるべく、超爽やかに弾けたハリキリナンバー。ハイテンションっぷりとイケイケっぷりが過去歴代の比ではなく、「公園のベンチでソフトクリームを舐めるその姿に魅かれ・て・く・よっ♪とノリノリで女性をひたすらに賛美し、サビの最後には「エヌエー、ヴィー、アイ、ジーエー、ティー、アイオーエヌ!(N・A・V・I・G・A・T・I・O・N!)と超高音でシャウト。さすがに当時のアイドルですら…と一瞬思ったがちょうどこの頃デビューのSMAPもこんな感じだったので1991年はまだそういう時代だったのかもしれない…。PVも最初2人がシリアス?に黙っていると思えば急にステージが転調して曲が始まったと思えば稲葉さんが突如クネクネダンス魔神と化して踊り狂い始めるので爆笑必至。今まで初期のイケイケっぷりに耐えた俺でもこれは限界だった。これが…ミリオンの始まりか…(遠い目)今のB'zがこの曲をライブでやったらどうなるのか凄く気になる。

★★★★☆

9th ALONE
1991年10月30日発売

ミリオンヒットしたB'zを代表する大作熱唱系バラード。「あろ~お~ぉん 僕らは~♪」のサビは一度聴くと耳から離れない。遂に現れたガチ名曲である。「愛しい人よGood Night...」の影がやたらめったら薄いのはこの曲の圧倒的存在感 が影にある。90年代前半B'zといえばこの曲。カラオケで歌い上げて熱唱すると非常に気持ちよさそうで、何故かブラマヨ吉田とかその世代の筋の男性芸人からやたら人気という勝手なイメージがある。ぐうの音もでない名曲。

★★★★★

10th BLOWIN'
1992年5月27日発売

3連続ミリオン。150万枚を超えた3番手売上大ヒット曲であり、B'z打ち込みポップ路線の集大成。とはいえベストを手に取り始めた頃はB'zポップ路線が若干苦手で、正直ウルプレの時は再録に選ばれた時もそこまで?と思っていた。けど、改めてライブ映像と一緒に聴くと盛り上がる曲のように思えてきたのでやっぱりB'zはライブなんだな~と改めて思わされた25周年ベストでもある。

★★★☆☆

11th ZERO
1992年10月7日発売

4連続ミリオン。ここから路線を突如ハードロックに変貌。俺世代ではB'zといえばこういうユニットであり、当時の流れとしては最大ヒットを一気に更新した直後にかなり大幅でRISKYな方向転換だったんじゃないだろうかと思う。このまま車で君の家まで突っ込もうとする過激な歌詞とギターロックにキーボードやブラスを加えた非常にぎっしりしたアレンジが迫力満点。「今会いたいすぐ会いたい!」のサビも惹き込まれる。B'zの中でもトップクラスに好きな大名曲。2nd beat(B'zのC/Wの総称)の「恋心(KOI-GOKORO-)」も『Treasure』ベストでファン投票1位を獲得したポップ路線ナンバーで、この路線にしては珍しくプレトレベストを手に取った中学の頃よく聴いていた。

★★★★★

12th 愛のままにわがままに 僕は君だけを傷つけない
1993年3月17日発売

5連続ミリオン。200万枚を突破したB'z最大のヒット作であるが、実は93年当時はミリオン止まりで、03年の一斉再発売の時に売上を伸ばし200万枚に到達していた。そのためチャートイン週数で数えるO社の記録では普通の週数だが実に10年掛けの史上最長のダブルミリオン記録であった。唐沢寿明の方のドラマ『西遊記』主題歌。その超長いタイトルがインパクトを誇り、B'zの曲タイトルといえばこれ、というネタ的な存在感を誇るが、その割にこの曲が一番好き!って人には一度も遭遇していないような気が。個人的には何かロックなんだかポップなんだか中途半端でイマイチハマれない印象が何年も続いている…。嫌いではないんだけども。

★★☆☆☆

13th 裸足の女神
1993年6月2日発売

6連続ミリオン。全盛期B'zを代表するサマーロックソング。ロックに傾きながら爽やかな気持ちいい一曲で夏になると聴きたくなる。因みに長らくテレビでは一切歌われていなかったらしいが、先日のMステ出演で10年越しに初めて歌われた。

★★★★☆

14th Don't Leave Me
1994年2月9日発売

7連続ミリオン。「ZERO」で一気にハードロックに傾いたと思えば今作から一気に闇堕ち。…したんじゃないか、というほどにダークで内省的な重たい路線が続くようになった。稲葉さんも今までの半アイドルな姿から長髪と化し、シングルはこの1曲のみの2枚組オリジナルアルバムをリリースしたりとかなりこれまでのファンを試すような戦略が続いたが、それでもミリオンを越えてくるのは凄まじい。いや、凄まじい時代でもあったのか。実はミスチルの深海期のシングル同様この時期の路線はけっこう好きなんだけど、この曲はサビ以外割かし普通。

★★★☆☆

15th MOTEL
1994年11月21日発売

8連続ミリオン。前作より更に真っ暗で重たいロック。しかし重厚なロックサウンドがかっこよく、この曲から漂う絶望感にただただ惹かれていく不思議さがある。別にこういう歌詞に共感しているわけじゃなく、浜崎あゆみの「SEASONS」「NEVER EVER」辺りやコブクロ「STAY」に何故か急激に惹かれたようにこの手の悲壮感溢れる重厚な世界観が好きなのかも…。こういう歌詞に共感する時期ももうすぐ来るのかもしれない。

★★★★☆

16th ねがい
1995年5月31日発売

9連続ミリオン。重厚路線を経て万人ウケハードロック路線に回帰。「ねがいよ叶えいつの日か そうなる様に生きていけ」と力強く鼓舞する応援歌。ロックさは保ちながらピアノやブラスが鳴り響く賑やかな一曲で、流石B'z最大の名盤『LOOSE』に収録 されているシングルナンバー。PVで水辺に浸かりながら歌っている稲葉さんも印象的。

★★★★☆

17th love me,I love you
1995年7月7日発売

10連続ミリオン。軽快な賑やかポップロック曲。『LOOSE』収録曲ながら長らく他のB'zポップ路線と同じくこの曲もあまり好きではなかったんだけど、PVを観て印象がガラッと変わった。稲葉さんがスーツやラフな服装で街中を歩きまわるのが印象的な若者応援歌。今まで単にポップとしか思ってなかったのに、B'zPVの中でも一際身近で曲にハマっていった。もう本当に25周年ベスト様様の生活である。

★★★★☆

18th LOVE PHANTOM
1995年10月11日発売

11連続ミリオンにしてB'z史上最強の完成度を誇る超名曲。オペラのような始まりからストリングス、キーボード、サビの始まりがもう鳥肌。メロディーだけでも凄まじいのに隙のないスリリングなスピードに乗せたエロティックな歌詞、宇徳敬子のコーラス、アレンジ…。数あるB'z大ヒット曲の中で代表曲といえば?と訊かれたら迷わずこの曲。キングオブJ-POPロック。

★★★★★

19th ミエナイチカラ~INVISIVLE ONE~/MOVE
1996年3月6日発売

12連続ミリオン。「ミエナイチカラ~INVISIVLE ONE~」はアニメ『地獄先生ぬ~べ~』EDとして我々世代にもお馴染みの一曲。地味にPAMELAHだったりバーリーバーリー最強No.1♪も川島だりあ率いるFEEL SO BADだったりとビーイングアニメだったなぁ。初のミディアム寄りポップバラード。これまでのミリオンソングほどインパクトはないが懐かしアニメタイアップ補正もあってじわじわと名曲度を感じる(?)。「MOVE」は長らくリテイクベスト(マストアルバム)にしか収録されていなかったので、25周年ベストの流れで聴いたらえーっと、誰キミ?状態半端なかった。普通に勢いたっぷりの骨太応援ロックでいい曲なのにどうしてここまで扱いに差がついた…。

★★★★☆
★★★☆☆

20th Real Thing Shakes
1996年5月15日発売

13連続ミリオン。今度は全英詞ハードロックという超冒険っぷり。更に稲葉ワールドを突き上げた超を越えた怪・高音でAメロから突き抜けていてカラオケでの再現不可能。PVもアメリカン。あんまり好んで聴く曲ではないけどこの曲も堂々ミリオンを越えたのは凄い…っていうか、ミリオンをぽんぽん出しながらその間で何度もコロコロ路線転向しまくっているのも何だか凄い。

★★☆☆☆

21st FIREBALL
1997年3月5日発売

「LADY NAVIGATION」以来続いていたミリオン記録がここで途切れた半ば戦犯的シングル。しかし個人的には初めてリアルタイムで借りたB'zのシングルなので思い入れ深い。メェイ魂に火をつけろ♪とハードロックに歌い上げるこの曲は間違いなく当時5歳の少年が聴く曲ではなかった 。PVで火花に囲まれながら歌う姿もメチャクチャかっこいいし何でミリオン途切れたんだろうと思うが、さすがにハードに偏りすぎてコアな空気が出てしまったのか。単純にインパクト不足だったのか…。

★★★★☆

22nd Calling
1997年7月9日発売

安達祐美の代表作ドラマ『ガラスの仮面』主題歌。ドラマ主題歌効果で再びミリオンを達成した。「ALONE」以来のドバラードで、一曲の中でしっとりとしたバラードパートやロックバラード、ハードロックな間奏パートに分かれている。とにかく惹き込まれるサビと「こぉの声が聴こえぇるかい♪」のロックパートのギャップが痺れる。これもカラオケで歌えると凄い気持ちいい。この10年のB'z名曲トップ3といえば「ZERO」と「LOVE PHANTOM」、この曲やね。

★★★★★

23rd Liar! Liar!
1997年10月8日発売

再びコア寄りなハードロック回帰。かなりハードな空気の割にサビで「You Liar!Liar!もう信じられないや!」と堂々と情けない人間不信っぷりが歌い上げてられている。そのまま「不信」がテーマで「なんて酸っぱいんだ オトナのパラダイス」「それってダンゴウ社会」「疑り深い奴になっちゃったのは週刊誌のせいじゃないオマエのせい」「でも真実を知る事が全てじゃない」…。真の意味で中二病全開である。また車で突っ込んじゃおうとしたり政府と火星人がくっついてたりイナバイズム な歌詞も絶賛炸裂している。ここからB'zはミリオンから遠ざかっていくが、歌詞を含めてじっくり聴いてると何か凄く面白い曲だった。

★★★☆☆

24th さまよえる蒼い弾丸
1998年4月8日発売

ポカリスエットCMソング。これまでZARDやDEENがミリオンを飛ばしてきたビーイング伝家の宝刀タイアップだった(今作で関係終了)のでもう少し早めに回って来ていたらミリオンしていた…のかもしれない。この曲もPleasureを聴いていた中学時代を思い出す。サビの出だしが強烈でこの痛快感が昔から今まで大好き。歌詞もとても痛快でロック。最近まで2番の「落ち着く場所はありますか?ってそんなのまだいらねぇ」を「餅つく場所」だと勝手に勘違いしていた。そりゃまだいらねぇだろと。何を言ってるかわからねぇかもしれないがとにかくスカッと元気が欲しい!って時にはこの曲。

★★★★☆

25th HOME
1998年7月8日発売

周りではかなり評判が高い曲なんだけど…この曲、サビの最初のフレーズと「鏡を除けば(テクマクマヤッコォン♪)というB'zシングル史上最強のギャグが炸裂している印象しかあまりなかった。歌詞をよく聴けば「言葉一つ足りないぐらいで全部壊れてしまうようなか弱い絆ばかりじゃないだろう」と、コミュニケーションのすれ違いを歌い鼓舞していて、学生終盤を迎えてけっこう響くものがあった。深い。もっと聴き込めば更に変わっていくかも。

★★★☆☆

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