嵐 15周年シングルレビュー ~2010→2014~

年間上位独占、紅白出場と絶好調の10周年を締め括った嵐。2010年もノリノリにスタートした…が、流石にこれ以上無いところまで上ってきたからか、AKB48が07年以降の嵐みたく大ブレイクしてきたからか安定期に入った。メンバー全員がOVER 30's WORLD(©TOKIO)に差し掛かって大人な落ち着いた曲が増えたものの、たまに冒険も忘れていない。しかしサクラップはこの5年間のシングルA面で1曲しかなく、嵐の個性はいつしかサクラップよりも「1番ユニゾン+2番ソロパート歌い回し」という構成に…。これもOVER 30's WORLDして櫻井がラップに乗せて伝えたいことがなくなってしまったからなんだろうか。すっかり国民的存在になり、常に安定して高値安定の大ヒットは出しているものの、突出したヒットが出ずにSMAPでいう「世界に一つだけの花」級の曲はまだ現れていないのが現状である。

 

29th Troublemaker
10年3月3日
櫻井主演のドラマ「特上カバチ!!」主題歌。このドラマ、毎週観ていたが今では可愛すぎる堀北真希、やたらハイテンションな演出と謎の生電話(番組ラストで櫻井と堀北が生放送で視聴者に電話かけまくるという謎企画。これが全然電話出ない、時間短すぎて会話にならない、そもそも櫻井が多忙でいないというショボショボなことに…)しか覚えていない…。あれからもう5年か。年間上位独占、紅白出場を果たした嵐の快進撃をそのまま体現したパワフルな一曲。マリオがスーパースター取った状態の如く、その無類な明るさで何もかもを蹴散らせそうな勢いに溢れている。絶好調な10周年の直後としてこの上無さすぎる曲だったというか。年中ロングヒットして、デビュー曲以来に70万枚を超えた売上的にも代表曲。高校卒業して大学へ向かう俺の当時の心境にもピッタリジャストフィットだった。サクラップ無し枠では一番好きだ!
★★★★★


30th Monster
10年5月19日
大野主演のドラマ「怪物くん」主題歌。あの名作アニメの実写化だが、嵐と懐かしアニメの実写化は相性がいいのかこれも受け、大野くんが演じたキャラ名で単独リリースした挿入歌もあっさり初動10万オーバーをかますほど大ヒット。紅白にもこのキャラの姿で出演した。「truth」以来のミステリアスなダンスソングだが、あれよりもかなりポップで爽快。「君の叫びで~♪」のサビで一気に突き抜ける爽快感はたまらなかった。これも70万枚を超えて大ヒット。嵐が一番ノリに乗っていたのはこの時期だと思う。この年も年間1位2位は手堅いと思われていたが、この翌週に某ポニーテールソングを大ヒットさせた某女性アイドルグループによって一気に覆され…。
★★★★★


31st To be free
10年7月7日
三ツ矢サイダーCMソング。ジャニーズ商法をやらない夏ソングというと「Everything」を彷彿とさせるが、もっとギターを利かせて夏の暑さを感じさせる開放的サマーソング。「ウォーターボーイズ」みたいな暑苦しい青春を思い出すような、海で聴きたくなるような。まああの2010年の夏はかわいたっまま♪なんて言えない即焼け猛暑だったけどな!何か解き放たれたような気分になる今までにありそうでなかった曲である。
★★★☆☆


32nd Lφve Rainbow
10年9月8日
マツジュン主演のドラマ「夏の恋は虹色に輝く」主題歌。嵐が遂に月9進出。これ以降フジドラマへの出演が一気に増えた。華やかな月9ラブストーリーを彩るべく作られた(たぶん)超爽快ラブソング。どこまでも爽やかだが、「Monster」までの勢いに比べたらさすがにひと段落落ち着いたような…。肝心の月9もあまりにストレートな恋愛ドラマすぎてサッパリ印象に残らなかったし、売上も月9主題歌で年間1位ごぼう抜き!と気合い入れまくってたんだろうけどちょっと下落。アルバムを挟んでシングルを連作しまくり、某AKBが大ブレイクきたからか、今までの大ヒットで増えたライトリスナーがついていけなくなり始めた時期だと思われる。
★★★☆☆


33rd Dear Snow
10年10月6日
二宮主演の映画「大奥」主題歌。「Beautiful days」を思わせる冬を暖めるミディアムバラードナンバー。初期WANDSの大島こうすけが作曲を手掛け、20年越しでヒットチャートに戻ってきたのも印象深いトピック。ビーイングのミリオン作家にヒットミュージックを描かせたら無敵というもの。メロディーは極上で時代劇の映画と合っていたのかはわからないがじっくりと聴かせる名曲。…なんだが、1年に6枚も出した連作っぷりではじっくり聴ける余裕も無く…。翌月には即「果てない空」モードになり、年末は「Troublemaker」「Monster」、翌年は冬バラードの「迷宮ラブソング」が出たので正直埋もれてしまった。今改めて聴いたらその名曲っぷりにびっくり!あの日の私にケリ入れたい(©PAMELAH)
★★★★☆


34th 果てない空
10年11月10日
二宮主演のドラマ「フリーター、家を買う。」主題歌。二宮タイアップ2連続!フリーター主人公更生と家族再生をテーマにしたドラマで、続編SPが作られるほどヒット。曲も挫折から乗り越えていく希望を歌った、今までに無い心にじんわり響く応援歌だったものの当時の連作ぶりでは…。という当時の感想だったが、翌年の東日本大震災を受けてこの曲が応援歌としてピックアップ。紅白でも歌われて代表曲の仲間入りを果たした。暖かいメロディーと力強い歌詞がマッチした心に響く、いつまでも残る名曲。就活で挫けそうになった時にもじわっと来た。
★★★★☆


35th Lotus
11年2月23日
相葉主演のドラマ「バーテンダー」主題歌。国民的存在になった嵐が今なおテレ朝深夜ドラマで主演を張る辺り、そこは嵐とテレ朝ドラマの信頼感というか。これまでみたいに「ドラマに合わせてきた」感は無かった気がするが、ダンス系でカッコイイ曲。ただこれまでのダンス系に比べてもクールすぎてあんまり引っ掛かりが無かった。印象に残ったといえば大サビの「ストーリー始まる♪」の相葉くんソロパート、Bメロでの二宮の叫び声ぐらいか…。それこそこういう曲でサクラップが復活すればグッと頭一つ抜けた曲になるのに。ただでさえ超多忙なのに、連作続きとなるとそりゃサクラップなくなるよなと。
★★☆☆☆


36th 迷宮ラブソング
11年11月2日
櫻井主演のドラマ「謎解きはディナーのあとで」主題歌。櫻井がヒロイン北川景子に毒舌を吐きまくりながら事件を解決していくというコメディーミステリードラマ。続編SPが作られて映画化するなど「花より男子」以降の嵐ドラマでは突出した大ヒットになった。櫻井もサクラッパーから影山執事という新たな新境地(?)を開拓。ということで案の定櫻井のメインタイアップだろうとサクラップの欠片は無いが、じんわり暖まる系の生演奏風ミディアムバラードでこれまた新鮮。「ラブソング」とタイトルにしてるだけあって、「いくら迷宮に迷い込んでも君を見つけ出すよ」(簡略)と歌うウルトラストレートなラブソング。このゴージャスな雰囲気は王者嵐にしか出せない風格がある。ドラマのヒットもあって2011年以降の嵐では一つ抜けたヒット曲なイメージ。

なお、この曲のアレンジはFNSっぽいなと思ってたら、この年のFNS歌謡祭でチョイスされ、生歌生演奏のステージを披露。しかしマイクトラブルが起きたのか全然歌声が聴こえず、全員の歌声ガタガタで違う意味で迷宮に迷い込んでしまった…という珍事に。これが当時生歌生演奏に拘りまくっていた当時のプロデューサー・きくちPの逆鱗に触れたのか、翌年からカラオケ・口パク・別撮りという番組のコンセプトに真っ向から反する演出で何年か扱われる遺恨が…。これ以降嵐のTV生歌は割とタブーになった気がする…。
★★★★☆


37th ワイルド アット ハート
12年3月7日
マツジュン主演のドラマ「ラッキーセブン」主題歌。瑛太や松嶋菜々子、大泉洋といった豪華メンバーでの探偵モノという異色の月9ドラマ。2番手の瑛太が何故か後半で失踪し、最終回で再登場するもまともに姿を現さないという謎の降板を果たした珍現象が起こった…が、サスペンスありアクションも有りで一味違う面白い月9だった。そんなドラマのOPで流れていたキャッチーなアップテンポナンバー。ドラマのワクワク感を煽るようなイントロが爽快。もうメンバー全員がAROUND 30's WORLDを迎えて「Happiness」「Troublemaker」の勢いを出すには厳しくなってきたが、安心して聴ける、歌えるポップソングである。「一度きりの人生転がるように笑って泣いて生きていこうぜ♪」と歌うお気楽さは歌い手が年を重ねた分、頼もしさがある。
★★★★☆


38th Face Down
12年5月9日
大野主演のドラマ「鍵のかかった部屋」主題歌。2クール連続で月9主演&タイアップ!密室殺人モノで1話完結、密室オタクで寡黙な大野くんとヒロイン戸田恵梨香、ツッコミ役の佐藤浩市で事件を解決していくというこれまた異色の月9だった。そんなドラマに合わせてミステリアスなダンスナンバー。ダンス路線は今までにもあったが、キャッチーさすら捨て去った本格トラックな曲調はシングル史上初。サビのフレーズを何度も繰り返したり、ソロパートを加工ボイスにしたりと、当時日本に流れまくっていたK-POP要素を取り込んでみた感じか。大野くんメイン×ダンス路線の組み合わせは毎度絶妙な味を出すとはいえ、ここまで冒険した楽曲を敢えてシングルにするとは…。しかも間奏では「Believe」以来、3年ぶりにサクラァップ!!3年という月日、待望というより「いきなり影山がラップし始めたんだけど!」と騒然になった若いリスナーは多いと思…国民的存在になってもう派手な冒険はしないと思っていただけに、たまにこういうシングルが出てくるとやっぱり嵐は見逃せないよな。
★★★★☆


39th Your Eyes
12年6月6日
相葉主演のドラマ「三毛猫ホームズの推理」主題歌。冒険しまくった前作の中和目的か、超スタンダードなシリアスバラード。アレンジがぎっしり詰め込まれていて名曲風な空気。とはいえ名曲"風"ではあるもののパッとしない感じ。大サビの歌い出し以外にも、曲が終わったと思えばいきなり「始まりのラ~イト♪」って唐突に歌いだす相葉くんのソロパートが強調されていたのがポイントなんだけども、シングルが完全にドラマ主題歌で固定されてからは、誰の主演になるかで路線やソロパートが決まることが多いので案外そこもファン的には重要になってくるんだろうか。曲自体はかなり好きなんだけど、別に嵐じゃなく、V6やHey! Say! JUMPに分けてあげれば…と「Everything」みたいなことを思ってしまった。それぐらいの高値安定感には恵まれた曲ではある。
★★★☆☆


40th Calling/Breathless
13年3月6日
4年ぶり6回目の両A面シングル。1種増えたので「Troublemaker」「Monster」を超える88万枚ヒットをかましたが、AKB48だけでなくEXILEがこんな世界を愛したためにO社年間6位に。たぶんもう1種増やすだけで初のミリオンセラーを狙えるんじゃないかと思うが…。一応シングル2番ヒット。

Calling
相葉主演のドラマ「ラストホープ」主題歌。高度先端医療を描いた医療モノで、相葉くんを始め多部未華子、小池栄子、北村有起哉…といった豪華メンバーが全員何か過去に秘密を抱えていて次第に明らかになって絡み合っていく…というミステリー要素もある鋭いドラマだった。その鋭さのままな疾走デジロックナンバー。嵐のドラマ主題歌で当たった時の威力は本当にでかい。まるでアニメ/特撮方面に進出したんじゃないかと思ってしまうほど激しい曲調になった。「あふれあふれあふれ…」と溜めてから溢れだしたようにサビに突入するのもたまらずかっこいい。これまでと全く違うアプローチからかっこよさを魅せた痛快作。しかし、サビ前でも櫻井が明らかにがスタンバってるように掛け声入れてたものの、今回もサクラップは一切無し。この曲ほど「サクラップがあれば…!!」と叫びたくなったことは無い。このめちゃくちゃかっこいい曲調にサクラップが加われば最高傑作確定でしょお…。
★★★★★

Breathless
二宮主演の映画「プラチナデータ」主題歌。クールにスリリング、今までにありそうでなかったエレクトロダンスナンバー。これも映画のクール&クレバーな空気に合わせたんだろうか。最早貫禄すら感じるかっこよさだし、遂にメンバー全員がOVER 30's WORLDを迎えたのでこういう路線が今後メインになるのかなと思いながら。個人的には「Calling」が好きすぎたので年末番組でこっち一色だったのはなんでだ…とも…。
★★★☆☆


41st Endless Game
13年5月29日
櫻井主演のドラマ「家族ゲーム」主題歌。櫻井主演ドラマで意外なダンス路線。やっぱりOVER 30's ARASHIはクールに魅せるんだろうか。安定してかっこいいと思うものの、あんまりキャッチーさもないし「Face Down」「Breathless」に比べてあんまり引っ掛かりが…。櫻井メインタイアップにしてリズミカルなダンス路線というまたサクラップを絡める絶好の機会だったのだが、またしてもサクラップは無し。忙しい以上に30超えてラップで伝えたいことがなくなってしまったんだろうか…。それでもアルバムでは数曲サクラップを続けてるし、この曲よりもこの年のアルバム曲で、同じダンス路線ながらもっと大胆でサクラップもある「P・A・R・A・D・O・X」をシングルにしてほしかった。
★★☆☆☆


42nd Bittersweet
14年2月12日
マツジュン主演のドラマ「失恋ショコラティエ」主題歌。4度目の月9ドラマ。パティシエマツジュンが不倫上等を掲げ、人妻石原さとみにアタックしていく大胆な月9だったが、「昼顔」がこの年の夏。不倫上等を掲げるには半年早かっ…ボカロ系にありそうな電子音が軽快に転がるエレクトロポップナンバーで、キャッチーさは薄いながらもこれも今までにない感じ。どことなく優雅さを感じて、冬の寒さを彩る心地よさが新鮮な好印象の一曲である。また1番からソロパート歌い回しという構成もこれまでになく初めて。FNSで迷宮に迷い込んでからは猶更2番カットのユニゾン口パクがTVでは多いので、この構成のTV披露をもっと見てみたい。
★★★☆☆


43rd GUTS!
14年4月30日
二宮主演のドラマ「弱くても勝てます」主題歌。高校野球ドラマの主題歌だったからか、この年球場でもよく流れていた。久々の王道ポップナンバーにして合唱風の応援&青春賛歌。VIVA青春!OVER 30's WORLDしてから歌うところに深みを感じる。VIVA青春!なんてその当時じゃ言えないからなぁ…。そういう意味でもやっぱりOVER 30's ARASHIを感じるし、「ナ~ナ~ナナナナナナ~ナ~♪」のイントロからみんなで歌えてこれからも歌い継がれていく応援歌になりそう。紅白でも満を持してトリを務め、「感謝カンゲキ雨嵐」と一緒に歌われた。
★★★★☆


44th 誰も知らない
14年5月28日
大野主演のドラマ「死神くん」主題歌。大野ドラマ主題歌恒例の「truth」「Monster」系のダンスポップ路線。嵐レベルの知名度で「誰も知らない」なんて後輩に喧嘩売って…よりによって同じ路線の「Lotus」の歌い出しと全く同じフレーズを拝借するとは…。「Lotus」に「Monster」の爽やかさを合わせたような…っていう説明の時点で最早三番煎じだし、深夜ドラマタイアップであんまり耳にしなかったので正直タイトル通りにあんまり印象に残らない曲だった。こんな感想が15周年レビューの締めでいいのか。15周年を越えた2015年は「GUTS!」のような決定版なヒット路線や、欲を言えばOVER 30's サクラップを聴きたいところだ。
★★☆☆☆

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