嵐 15周年シングルレビュー ~2005→2009~

15周年記念第2部。「WISH」が花より男子タイアップで大ヒットした嵐はここで大きな転機を迎える。07年の続編大ヒットから破竹の快進撃をかまし続け、遂には年間1位の座もゲット!いきなりガクッと売上を落としたSMAPと入れ替わるようにトップの座を奪還した。この07年~09年はまさに飛ぶ鳥を突き落とすような大躍進の時期だった。10周年を迎えた09年にはベスト盤をリリースし、SMAPベストの記録を塗り替えるジャニーズ史上最高の180万枚メガヒット。そんな嵐のブレイク直前~10周年を振り返る。また、ここからは多忙になってきたからか、路線変更か消えゆくサクラップの歴史でもあり…。

 

14th サクラ咲ケ
05年3月23日
城南予備校CMソング。代々木とか進研とか大手予備校のタイアップじゃなかったのか…。春らしい、予備校CMソングらしい受験生応援ソング。とびきりキャッチーでタイトルでの期待通りにサクラップもあり、当時の嵐らしいガツンとした王道の一曲。現在でも"春うた"ランキング系の特集でよく紹介され、「WISH」以前ではデビュー曲の次に有名と思われる代表曲だと思われる。隙の無い鉄壁の嵐ソング。当時から後追いでもこの曲に励まされたっていう受験生は多いだろうなぁ。受験生に限らず何かを成し遂げた人には響く名曲だと思う。
★★★★★


15th WISH
05年11月16日
マツジュン主演のドラマ「花より男子」主題歌。当時は明らかに急遽ねじ込んだだろ的な遅さで発表された企画であり、あんまりジャニーズでもパッとしていなかった嵐メンバーと子役時代から脱皮しきれず干されていた井上真央を主役にチョイスというやる気の無さのはずだった。…が、この世界何が起こるかわからない。突然ドラマは大ヒットし、主題歌のこのシングルも「a Day in Our Life」以来に30万枚越えというロングヒットになった。井上真央もここからそんな境遇だったのが想像できないくらいの大女優に出世。サクラップも無いので本当に急遽制作した主題歌だったんだろうとも予測されるが…何が当たるかマジでわかんねぇ…。しかし親しみやすさがウケたと言われたら納得の万人ウケ性だと思う。時期的にもクリスマスが近づくと聴きたくなる嵐のウインターソング代表曲。
★★★★☆


16th きっと大丈夫
06年5月17日
C1000のCMソング。ヒップホップグループのSOUL'd OUTが提供した久々のラップミュージック。春らしい爽やかなCMに合わせてか「a Day in Our Life」よりもかなりわかりやすくて軽快で、ジャニーズ王道のキャッチーポップにサクラップが軽やかに絡んでいくという嵐の良さが最大限に発揮された楽曲に仕上がっている。ラキラキベイビ♪のサビだけでインパクト最高なのに爽快さに溢れたメロディー、大野ソロ、絶好調のサクラップとかもう最高。わかりやすさでもサクラップの存在感でもこの曲はナンバーワンだと思う。それだけに大ヒットの狭間の06年にリリースされたのが勿体な…。個人的に嵐で一番好きな楽曲
★★★★★


17th アオゾラペダル
06年8月2日
櫻井主演の映画「ハチミツとクローバー」ED。原作者がスガシカオとスピッツの曲名からタイトルを拝借したほどの両者の大ファンということで、主題歌にはスピッツの「魔法のコトバ」が使われていた。なのでEDはスガシカオ…が提供した嵐のこのシングル。扱いも実質エンドロールのバックBGMで別に嵐が絡む必要はなかったんだが、そこはジャニーズパワ何かの力が働いたんだろうか…。サクラップ無しのミディアムバラードで「きっと大丈夫」に比べて当時かなり薄味感が漂ったものの、曲自体はバンドテイストで割と力強い。真夏をクールダウンさせる切ない涼しさを感じさせていて、なんだかんだ確かな印象を残す一曲である。青春っぽさを感じるのも淡くていい。ラストサビで櫻井のソロパートがガッツリ聴けるのも魅力。
★★★★☆


18th Love so sweet
07年2月21日
ドラマ「花より男子2」主題歌。大ヒットからすかさず続編を制作。予算が大幅アップし、初回からアメリカロケというぶっ飛んだ期待がかけられて期待通りに大ヒット。主題歌のこのシングルものっけから絶好調で遂に2ndシングル以来に40万枚を突破。年間4位O社年間チャートに初めてトップ10入りという大躍進を遂げた。まさに嵐の大躍進のスタートとも言えるシングル。曲自体はサクラップの欠片も無い「きっと大丈夫」って何だったんだよ…ポップソングだったが、それでも大ヒットパワーというべきか嵐が歌うこの曲からは大ヒットのオーラを感じた。駆け上っていく勢いを感じるというか、売れるべくして売れたというか。07年は中~高校生時代だったので中高生補正(一番多感な中高生の時期に聴いた曲はどれも輝いて記憶に残るという意味)は多いにあったとは思うけど。
★★★★☆


19th We can make it!
07年5月2日
マツジュン主演のドラマ「バンビ~ノ!」主題歌。2連続マツジュンドラマ!日テレ水9枠で道明寺様でブレイクしたマツジュンがシェフとしてお仕事に奮闘する社会人ドラマということでコケ話題になった。失敗しながらも成長して乗り越えていく系の内容はストレートに面白かったしこの年齢になるにつれて共感も沸いてきたけど、放送当時は道明寺様の直後ではどうしても地味な印象に…。シングルの売上も前作は何だったのかという勢いで元通りになってしまった。ポップでキャッチーながら何の変哲もない一曲で、サクラップも復活するもかなり抑え目で薄味。「王道」と「予定調和」は違うと言うが、これは正直予定調和の方だった…。やっぱり嵐にはもっとパンチが欲しい。
★★☆☆☆


20th Happiness
07年9月5日
二宮、櫻井主演のドラマ「山田太郎ものがたり」主題歌。もう大学院卒業する年齢高校生役で嵐の2人が主演と今では考えられないぐらい豪華。ヒロインは多部未華子だったが無名時代のこじはるも同級生役でレギュラー出演しており、お互い大物になる前の貴重共演でAKB48が大ブレイクしてから再び話題になったりも。ドラマ自体はただバカ騒ぎしてるだけで凄まじい勢いで中身が無かった…が、当時の嵐の勢いなら何でもオールオッケー!というか。このノリを無邪気に楽しんでたのは俺が当時高1の夏休みでダラダラ過ごしてたからだと思うけど、終始バカ騒ぎしてるだけでも強烈に覚えてるインパクトのあるドラマだった。主題歌もかなりノリノリ。出演者がエアギターをノリノリで弾きまくっていたのが凄く楽しそうなOP映像で使われて、ドラマのハイテンションさを多いに盛り上げた。問答無用で元気が出る一曲で、まさに07年勢いを増していく嵐をそのまま表したシングル。「Love so sweet」に続いて大ヒットした。翌年以降は更に巨大な存在になっていったので、このパワフルな煌きは07年にしか出せなかったというか。
★★★★★


21st Step and Go
08年2月20日
ここから一気に初動売上が跳ね上がった。春っぽい卒業ソングで爽やかメロディー、大サビ前間奏ではサクラップも登場。「きっと大丈夫」の下位互換みたいな感じ?若者らしい青春を歌うのも嵐らしかったが、年齢的にも嵐が「若者」っぽい曲を歌うのもこれが最後だったような。「WISH」がヒットしてからなんかもうサクラップが出てくるのは貴重レベルの勢いで…。そんな貴重なサクラップが拝めるシングルで割と好感触だが、O社チャート的には全然ロングヒットせずに急落。前後のシングルはガンガン粘り強くヒットする中で一切再浮上しなかったので大ヒットした印象は薄く…。というかさっきからサクラップのある曲がことごとくコケてるけど、どんどんサクラップがシングルから消えていったのは上のそういう判断じゃないよな…?
★★★☆☆


22nd One Love
08年6月25日
映画「花より男子FINAL」主題歌。遂に劇場版まで作られて大ヒット、完結。50万枚を超えてO社年間2位にランクインした。AKB48でいう「ヘビーローテーション」のポジション。イントロの時点で名曲のオーラが漂う合唱風ポップスで、サビでは100年先も愛を誓うよと壮大な愛を宣言。文字通り何年経っても歌い継がれそうな名曲。嵐のシングルで「世界に一つだけの花」に最も近付いたのはやっぱりこの曲だろう。サクラッ…
★★★★★


23rd truth/風の向こうへ
08年8月20日
ノリに乗っているこの時期に両A面ということでCDのバージョンが1種類増え更に売上が急増。初動だけでデビュー曲以外の歴代シングルの売上をぶっ飛ばし、O社年間1位に君臨した。

truth
大野主演のドラマ「魔王」主題歌。嵐では一際のほほんとしていた大野がドラマ主演、しかもドシリアスな復讐鬼の役で大きく話題に。終わってみればかなり後味の悪い悲しいドラマだったが、ストーリーにはかなり引き込まれた。主題歌もこれまでになくドラマへ忠実に作られ、スリリングで迫ってくるような一曲。ドラマを知っていれば思わず反応してしまうワードが散りばめられ、知らなくても普通にカッコイイという最高のタイアップソング。元々ダンスと歌の上手さが随一だった大野くんが大々的にフィーチャーされた曲でもあり、大野くんのかっこよさを存分に堪能できる。
★★★★☆

風に向こうへ
日テレ系北京オリンピックテーマソング。櫻井がNEWS ZEROキャスターということで日テレのオリンピック=嵐がこれ以降定番に。櫻井がZEROでオリンピック選手への取材を基に描いたサクラップも炸裂した。ジャッ♪ジャッ♪とアコギで始まる軽やかリズミカルなアップテンポナンバー。どちらかというとオリンピックというより運動会みたいな雰囲気。選手を称えて壮大壮大にバラードしていくんではなく、敢えて肩の力を抜いて軽やかにいったのは新鮮だった。
★★★☆☆


24th Beautiful days
08年11月5日
二宮主演のドラマ「流星の絆」主題歌。東野圭吾×宮藤官九郎という有り得ない組み合わせのミステリードラマ。大筋は殺人事件も絡んでいたりシリアスなストーリーなのに随所にクドカン特有のギャグが絡むというかなりシュールなミステリーだった…。それでもヒットし、挿入歌の中島美嘉「ORION」共々曲も大ヒット。これまたドラマに合わせた、流れ星が見えるような切ない泣きメロポップスで印象的。これ以降、しばらく嵐の個性がサクラップから「タイアップドラマにハマり込んだ楽曲」になっていったような…。冬の寒さを包み込む暖かさがあって何度も聴きこんだ。今も年末が近づくと必ず聴きたくなる、冬の定番曲
★★★★☆


25th Believe/曇りのち、快晴
09年3月4日
無敵の勢いのまま、初動からO社年間1位を独走する大ヒットになった。

Believe
櫻井主演の映画「ヤッターマン」主題歌。懐かしアニメの実写化…という超コケ必死のテーマだったが、嵐の無敵パワーか深キョンドロンジョ様がエロいのがよかったのかなんと大ヒット。ヒーローが飛び出してきたようなかっこよさのこの曲もしっかり映画にハマっていた。長めにしかもド派手にサクラップの出番もあり、健在っぷりを大々的にアピール!このサクラップがまためちゃくちゃかっこよかった。「truth/風の向こうへ」はどちらが年間1位なのかわからないバランスだったけど、これは09年を代表する曲に間違いない一曲。また、「はねるのトびら」を観ていた当時中高生リスナーとしては「やや嵐」の記憶とも共にある一曲。しかし一時盛んになったサクラップはこれ以降、数年間出番が無く…。
★★★★★

曇りのち、快晴 / 矢野健太 starring Satoshi Ohno
大野主演のドラマ「歌のおにいさん」主題歌。大野が役名でリリースしたキャラソング。ダンダンダン♪のフレーズがこの上なくキャッチーなダンスポップ。歌が上手く伸びやかな大野くんの歌声が響き渡るのも気持ちいい、確かに勇気づけられる一曲。この素朴さがいいね!キャラソングだからか10周年ベスト盤にもスルーされたのが残念…。
★★★★☆


26th 明日の記憶/Crazy Moon ~キミ・ハ・ムテキ~
09年5月27日
O社年間2位。何故か両A面がこの時期流行っていたのは何故だったのか…。今までCMソングレベルでは余裕でC/Wにしていたのに方針が変わっていたんだろうか。ベストへ向けてとにかく曲をプロモーションしたかったのか…。

明日の記憶
櫻井主演のドラマ「ザ・クイズショウ」主題歌。記憶喪失の櫻井が出演者の犯罪を暴いていくクイズ番組の司会者で、仕掛け人でディレクターの関ジャニ∞横山との隠された過去を巡って謎を明かしていく…というシリアスなドラマで毎週の展開も引き込まれる内容だった。ただこんだけ横山が出演者の罪を勝手に暴いて主人公を恋人殺しの犯人にした挙句、実は全部自分のせいで記憶改ざんしてましたっていうオチは最悪だったが…。そんなシリアスなドラマの主題歌だけあって、歌詞も忠実なシリアスバラード。とにかく自問自答な歌詞はかなり引き込まれるものがある。ただ一応希望を見出してはいるものの、思いつめた時に聴くとトドメになってしまう可能性があるので注意。今思うと一番売れてた時期に凄く重い曲をシングルで出してたんだなぁ…。この当時は受験真っ只中で、無意識に心を病んでいたのか無性にこの曲にハマってリピートしまくっていた。受験時代はこの曲かコブクロ「STAY」を聴きまくっていた記憶がある。そんな背景もあって嵐のシングルでは一番心に響いた。
★★★★★

Crazy Moon ~キミ・ハ・ムテキ~
コーセーのCMソング。化粧品タイアップということかかなりフレーバーな感じのダンスポップ。ム・テ・キ♪のサビはまさに嵐、無敵だったなぁとは思うものの、あんまりこういうバブリーな曲は嵐に似合わないような…。結局こういう路線のシングル曲はこれだけだったし。とはいえ年明けからCMで流れまくっていたし、クイズショウもそこまでヒットしたとは言い難いし「明日の記憶」とはどちらが有名なんだろうか…。
★★☆☆☆


27th Everything
09年7月1日
auのCMソング。先代まで2作連続でC/WだったのにシングルA面に。初夏の涼しさなミディアムポップ。すーっと心に入ってくるナチュラルな一曲。気合いが入りまくったキャッチー尽くしな曲が続いただけにたまにはこういうクールダウンが欲しい。しかし箸休め的な1曲でも後輩に分けてやれよ…と思うぐらいの高クオリティを保ってるんだから凄い。夏からずっとCMでかかっていたので実は09年で一番浸透した嵐シングルなんじゃと当時思っていたけど、ジャニーズ商法しなかった効果で売上が冴えずに一番下の売上に…。それでも年間5位ってのはまさにム・テ・キ♪だった。
★★★☆☆


28th マイガール
09年11月11日
相葉主演のドラマ「マイガール」主題歌。嵐では一人ドラマをやっていなかった相葉くんが満を持してドラマに主演。普段の人柄っぽく誠実なキャラが好印象で相葉くんの株が大きく上がるドラマだった。娘のコハルちゃんを演じた石井萌々果ちゃんもとっても目の保養に…。ドラマと同じタイトルだけあってドラマの空気に忠実で、嵐の10周年を締め括るにも相応しい極上の感謝ミディアムバラード。このエヴァーグリーンなポップさが全力で涙腺を揺さぶりにきてたまらない。嵐最高の泣き歌。また僅か3週で年間3位にランクイン、年間1~3位、5位を独占という史上初の快挙。ベストアルバムはダントツの180万越えのメガヒットをかまし、ジャニーズでは年功序列を突き破ってSMAP・TOKIO以降つっかえていた紅白出場を果たす特例措置が!なんという最高の10周年。
★★★★★

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