アルバムレビュー(改)
和楽器バンド
『ボカロ三昧』

和楽器バンド1stカバーアルバム。

No. タイトル
1. 天樂
2. セツナトリップ
3. 吉原ラメント
4. カゲロウデイズ
5. 虹色蝶々
6. いろは唄
7. 六兆年と一夜物語
8. 月・影・舞・華
9. Episode. 0
10. 深海少女
11. 脳漿炸裂ガール
12. 千本桜
2014年4月23日発売 avex trax 51分31秒 ★★★★☆

2013年に結成された和楽器バンドの初リリースCD。詩吟の師範であるボーカル鈴鹿ゆう子を中心に、筝や尺八等の和楽器で世界的に活躍する演奏家やニコニコ動画の「演奏してみた」系の投稿で圧倒的人気を誇るプレイヤー8人が集められて結成された。そんな結成の経緯もあり、ニコニコ動画で大ヒットした新旧VOCALOID系楽曲を集めたカバーアルバムとなっている(「Episode. 0」は2011年にGACKTもシングルでカバーしていたので、そのイメージも強いかも)。2015年には「千本桜」でミュージックステーションに出演。

 

ボカロ×爆音和楽器の超融合

爆音の和楽器でボカロ楽曲をカバーという衝撃的なアルバム。しかし、だからこそ原曲オケのまま人間の歌声になっただけの「歌ってみた」系カバーよりもかなり強烈なインパクトがある。超早口なサウンドとボーカルだった「脳漿炸裂ガール」をここまで人間業で完全カバーしているのがまず凄いし、楽曲の雰囲気も元々和風テイストな「六兆年と一夜物語」「千本桜」はイメージど真ん中でピッタリとして、他の楽曲も元はシンセや電子音サウンドだったものが多いのに全部和風ハードロックに仕上げていて鳥肌。上手いこと畳み掛ける楽曲、「虹色蝶々」「Episode. 0」みたいな和風な気分に浸れるバラードが両方ともチョイスされてるし。何といっても最早和楽器バンドの持ち歌として押し出していけばいいんじゃねって勢いな「千本桜」の存在感はやっぱり絶大。普段聞かない和楽器サウンドというのが斬新で、ボカロという思わぬ切り口から新たな世界に引っ張り込まれた1作だった。

ボカロ楽曲という選曲がまず面白くて、和楽器による和風サウンドっていう独特な作風も確立されていて、久しぶりに鮮やかな味わいのカバーアルバムだった。「千本桜」「脳漿炸裂ガール」の他にも「カゲロウデイズ」「いろは唄」といったボカロ界隈での有名曲が押さえられていて、ボカロ楽曲に興味がある(でも出来れば生身のボーカルで聴きたいな…って)人には入門編としても楽しめる1作かも。

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