アルバムレビュー(改)
大塚愛
『LOVE FANTASTIC』

大塚愛6thアルバム。『LOVE LETTER』以来5年半ぶりのオリジナルアルバム。

01. LOVE FANTASTIC
02. モアモア
03. LUCKY☆STAR
04. CHU×CHU
05. ごめんね。
06. マワリ廻るマワレバ回ろ
07. ライライ
08. アクション10.5
09. 9
10. ゾッ婚ディション
11 I love xxx
12 Re:NAME
2014年7月16日発売 avex trax 54分47秒 ★★★★☆
前作以降もシングルやラブソングベストを出していたものの、2010年に結婚して産休に突入。長らく姿を表舞台から消したが…。2012年に表舞台へ復活。ライブを中心に、ロックバンドRabbitのボーカルとしても活動。その翌年にはソロで3年ぶりにシングルをリリースし、2014年にはセルフカバーベストを経て本格的に活動を再開した。
 
2010年以降のシングル曲をガッツリ収録!
という経緯なので、2010年にリリースされたシングル3曲は今の今までアルバム収録の機会が無くて完全放置…されていたものの、今作でバッチリ完全収録。奇抜なタイトルとノリで衝撃を放った「ゾッ婚ディション」やその両A面で冬のオリンピックテーマだった「LUCKY☆STAR」NHK合唱コンクールの課題曲なのに「I love you ラララララ~♪」と横文字を流暢に歌わせるという前代未聞な怪曲「I love xxx」が入っていたのは純粋に嬉しい。というか懐かしい。これらがリリースされたのも大学入学前後だもんなぁ…。そして勿論復帰後の2013年以降シングルも収録。流石、しっかりと『LOVE LETTER』に続けて聴いても違和感がないような構成になっている。リード曲の「LOVE FANTASTIC」もロック調で頼もしいシングル級ナンバー。復活を確信するには十分なスタート。この辺りは08年の休止から活動再開を待ちわびていたファンにも親切だなと思わず感動してしまった。
 
適度に崩さず、しかし確実に大人になった「ゆるふわ」な魅力
先行シングル「Re:NAME」「モアモア」がけっこう柔らかい、所謂「ゆるふわ」系な歌声の路線をアピールしていた。思えば「らーそふぁみれー♪」と電波を発していた「LUCKY☆STAR」も独特な浮遊感があったし、「I love xxx」も合唱曲だった。流石に30歳を超えて「さくらんぼ」「SMILY」のようなノリはやってられないし、『LOVE LETTER』では落ち着いた生音ポップス路線を提示していたので、あの続きを待ち望んでいた自分にとってはピッタリバッチリな方向性だった。あれから6年、適度な可愛らしさと独特さを失わずに、それでいて確実に大人に進化した大塚愛を聴かせてくれる。確かに大塚愛王道だなと思えるポップでキャッチーな一作である。 ただ…途中に挟まれる個性派路線は…今までのアルバムでもネタ曲枠はあったしこれがメインになることはないよな…。Rabbitがかなりアーティスティックすぎて正直ついていけなかったので…。セルフカバーもちょっとマニアックな方向性だったし。今後「Re:I am」「モアモア」のゆるふわポップ路線を取るか、Rabbitヨロシクな個性派路線を取るかで今後改めて追っていけるかが変わりそう。そういう意味ではこの次回作のシングルが今後を占う意味でも重要かな?
ようやく本格復帰してくれた大塚愛の健在っぷりをアピールするにはこの上ないアルバム。 ここからリリースを重ねていったらシングル多めな凡作になるかもしれないけど、何より良いリスタートを切ってくれたことに感謝の一言である。

戻る