アルバムレビュー(改)
喜多村英梨
『証×明 -SHOMEI-』
女性声優・喜多村英梨の2ndアルバム。
01. 証×炎 -SHOEN- 02. 月詠ノ詩 03. Nonfictionisia 04. Destiny 05. Birth 06. Sha-la-la 07. PIXY 08. STARLET SEEKER 09. sentiment 10. Friend 11. Miracle Gliders 12. Pleasure→Link 13. \m/
2014年4月9日発売 スターチャイルド 56分16秒 ★★★★☆ 前作以降のシングル「Destiny」「Miracle Gliders」「Birth」を収録。「\m/」は、自身の冠ラジオ『キタエリあっ!』のマスコットキャラクターのキタエリちゃん名義による楽曲「Chu→ning」のセルフカバー(?)という扱いで、原曲とは大きく離れた歌詞とメタルなアレンジに変貌している。メタル風なロック路線に統一前作が前半ヘビメタ・後半アニかわ…という物凄く水と油を混ぜたようなカオスな構成だったのから転じ、元々キタエリが好きだったらしいハードメタル風ロック路線に方向性を統一。前作は前作で何でもアリっぷりが面白かったし、「Happy Girl」でファンになったリスナーにとって今作は残念どころじゃない騒ぎかもしれないけど、進む道が定まったのは大きいと思う。振り切れてポップさを捨てまくったシングルもこのアルバムではシングルの風格を感じる。相変わらずガンガン爆音が鳴ってるので聴く人は選ぶものの、飽和してきた声優歌手ジャンルの中でも一際インパクトを放つ存在に昇り上がってるのは間違いない。メタルに突き進みながらも、割と曲が多彩大まかな方向性はロックに固定されたものの、いざ聴いてみると意外と曲幅が広い。「証×炎 -SHOEN-」でハードに攻め、「月詠ノ詩」はエイベクシーな和風壮大バラード。「Nonfictionisia」はジャズ風アダルティー路線にはっちゃけ始め、「PIXY」「STARLET SEEKER」なんかはアニソン王道のキャッチーパンクロック。ハードに幕開けながら、徐々に爽快ポップロック寄りに流れていく様子も鮮やか。そこに王道メタルな「Destiny」「Birth」が入ることでアルバムの路線を確かなものにしているし、「Miracle Glider」でポップとロックの狭間を埋めている。元々はマスコットキャラの曲だったのをアルバム用にリメイクした「\m/」のカオスさも絶品。和風メタルな曲にはなってるけど、歌詞もノリも掛け声入ってたりファンシーなのが面白すぎる。ロックの範囲内で色んなことに挑戦したという印象。大まかな方向性を手に入れつつも、その中で多彩さを出していっていた1作だった。ヘビメタラーなキタエリの一面を覗きながらも、一曲一曲クセがあって面白いアルバム。ハピガ路線捨てたから…なんて言わずに騙されたと思ってキタエリ好きなら聴いてほしい1作である。