アルバムレビュー(改)
藍坊主
『ソーダ』

ロックバンド・藍坊主のメジャー2ndアルバム。

No. タイトル
1. 雨の強い日に
2. 螺旋
3. ウズラ(Album ver.)
4. 瞼の裏には
5. ボランスキーナ
6. 水に似た感情
7. ただ「生きる」ということ
8. ガーゼ
9. ロボハートストーリー
10. やさしい うれしい
2005年5月18日発売 TOY'S FACTORY 41分30秒 ★★★★☆

シングル「ウズラ」(とC/W「螺旋」)を収録。ドラマーの亀井栄脱退後、サポートメンバーだった渡辺拓郎が正式メンバー入りして再び4人組バンドになった。

 

「青春パンク」から一歩踏み出した深みが

1曲目「雨の強い日に」からストリングスを絡めた疾走感で始まって更にパワー全開。ただ今回からは今までの青春パンクがなりを潜めるようになり、やたら哲学的というかがむしゃらさから一旦立ち止まって考え込んだような曲が多くなった。ひたすら突っ走ってきた後で人生の岐路に立たされ、自分の存在について考え始める…みたいな?「螺旋」はこれまでっぽい青春パンク調だけど痛みから立ち上がる強さを描いていたり、「水に似た感情」今までに無い淡々さで感情について考え耽っていたり、「ロボハートストーリー」では仲間がいるのに感じる孤独を歌っていたり。「ただ「生きる」ということ」は更に意味深で重たい空気漂うが何だか強く引き込まれる。学生を終えて振り返るとこれも青春の一つだったなと感じるようになったけども、突っ走ってた前作より一歩大人の階段を昇ろうとする深みがある。そしてこの深みがあるからこそ、ほのぼの平和な「やさしい うれしい」がより響いて聴こえた。人生に葛藤している高校生辺りはど真ん中で胸にディーンと来るんじゃなかろうか。

また歌詞の世界観以外でも楽曲にもこれまでに無かった要素を多く取り入れていて、鶏を主人公にした何だか可愛らしいポップな「ウズラ」「ボランギスキーナ」ではブラスアレンジも加えてみたりと、メッセージだけじゃなく曲の幅も一層深くなったと思う。40分という短い時間で色々な味わいを感じられるアルバムだった。

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