アルバムレビュー(改) 第0014回
奥華子
『BIRTHDAY』
女性シンガーソングライター、奥華子の4thオリジナルアルバム。
No. タイトル 1 笑って笑って 2 一番星 3 僕たちにできること 4 Birthday 5 他人の涙 6 最後の恋 7 アネモネ 8 青い部屋 9 チョコレート 10 蛍火 11 あなたに好きと言われたい(Piano弾き語りver.) 12 明日咲く花 13 Happy days(Album mix ver.) 14 灯 -ともしび-
2009年7月15日発売 ポニーキャニオン 73分9秒 ★★☆☆☆ C/W含めてシングル5曲収録。「笑って 笑って」はインディーズ時代から歌い続けていた楽曲だったが、08年に日テレの音楽番組『誰も知らない泣ける歌』に取り上げられて話題になり、本作発売直前にメジャーシングルとしてカットされた。
前作からどんどんと垢抜けていっている気はあったが、今作でいきなり70分越え。「笑って笑って」はメディアで取り上げられてシングルカットまでに至った勝負曲だけあってストリングスを交えた壮大バラード風になっていて、「一番星」はそれをフォローするかのようにバンドポップ。基本的には確かに前作の延長線で、とびきりポップな曲もピアノオンリーの枠もある…んだが…。1曲目の重たい雰囲気をなんだか引きずったように大作ちっくな曲が増えてしまったような気がする。さすがに7分越えは無いが6分台なら「他人の涙」「Happy days」の2曲、あと妙にまったりした曲が多いのももっさりして重く感じる原因かも。それでもストリングスはそこまで不自然だとは思わなかったので、ミスマッチを起こしているわけではない。かつてアコースティック調な路線でブレイクしたいきものがかりやコブクロが一気に大作路線に昇華していったのと似たような感じ。一際浮いてるかも…と思ったストリングス真っ盛りバラードといえば「明日咲く花」…って案の定シングル曲だった。ストリングスが効いたバラード楽曲ばかりがシングルリリースされているので、シングルしか追っていないリスナーからは奥華子がJ-POP典型ストバラミュージシャンだと思われていないか不安だ…。ある程度バラエティには富んでおり、締めの「灯-ともしび-」は人生賛歌な壮大バラードで名曲だし、良くも悪くも力の入った大作路線アルバムだった。
かつていきものがかりやコブクロが通った大作路線化への道にすんなり適応できた人なら力作揃いの名盤と思えると思う。…が、やっぱ俺はもっとコンパクトな奥華子が好きだ…。