アルバムレビュー(改) 第0011回
奥華子
『やさしい花の咲く場所』

女性シンガーソングライター、奥華子の1stオリジナルアルバム。キーボード弾き語りの路上ライブ活動がインディーズで話題を集め、05年にシングル「やさしい花」でメジャーデビュー。「魔法の人」「恋つぼみ」を立て続けにリリースし、その流れで1stアルバムとなった。シングル3作収録の他、「鳥と雲と青」はインディーズ時代のアルバムからのリメイク。

No. タイトル
1 雨上がり
2 魔法の人
3 月のそばで眠りたい
4 そんな風にしか言えないけど
5 帰っておいで
6 窓辺
7 春風
8 恋つぼみ
9 リップクリーム
10 きみの空
11 鳥と雲と青
12 やさしい花
2006年3月1日発売 ポニーキャニオン 53分33秒 ★★★☆☆

ピアノ弾き語りシンガーソングライターっ子として定着した奥華子。当管理人、全オリジナルアルバムを追っているぐらいには実はライトファンだったりする。今回はそんな彼女の原点ともいえる1stアルバムを。

シンプルなピアノ弾き語りアルバム。一部曲をポップにするために若干ストリングスやドラム等の楽器が使われている曲もあるが、本人が弾いているピアノ以外は殆どそれだけである。愛が重たい歌詞が多い(初っ端から「あなただけがあたしだった」「あなたを閉じ込めた私を許して」な「月のそばで眠りたい」とか)と定評のある彼女でも思ったよりポップなラブソングも多く、特に弾き語りバラードのイメージしかないリスナーが「リップクリーム」を聴くと驚くんじゃないだろうか。「帰っておいで」はスタンダードで明るい曲調ながら「笑顔を忘れそうになったら帰っておいで」と深く、頑張りすぎているような人々を癒す応援歌(ライフソング?)だったりと、シンプルなサウンドながらバラードばっかり…というわけではなく、弾き語りという枠の中で色々とやっている。それで適度にキャッチーなのも、この頃からいつブレイクしてもおかしくない匂いを感じさせていたとも思う。まだブレイクしてな小粒ながらピアノ弾き語りというシンプルなJ-POPの良さを堪能できる1作である。最初は地味なアルバムだと思っていたけど、聴いていくうちにじわじわと沁みいっていった。奥華子を聴くなら『TIME NOTE』からスタートするリスナーは多いと思う(…というか俺がそうだった)けど、やっぱりこの1stアルバムからがイイかな。

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