アルバムレビュー(改) 第0009回
竹達彩奈
『apple symphony』

女性声優・竹達彩奈の1stオリジナルアルバム。「けいおん!」梓役や「俺妹」桐乃役でお馴染みの彼女が2012年にシングル「Sinfonia!Sinfonia!!!」でCDデビュー。3枚のシングルを発売のちに1stアルバムリリースを果たした。初回盤にはリード曲2作のミュージックビデオとアルバム発売までの軌跡を収めたメイキング映像を収録したDVD、楽曲紹介や収録レポを綴ったセルフライナーノーツ付。新品にしてお値段6300円也。あ、Amazonで頼むともっと安いのかな。

No. タイトル
1 apple symphony
2 ライスとぅミートゅー
3 Sinfonia!Sinfonia!!!
4 Yes-No
5 G.I.W.
6 Drive My Car
7 CANDY LOVE (album mix)
8 ナナナナンバーワン
9 えぶりでぃメリークリスマス
10 HIKARI
11 the colored apple
12 春がキミを綺麗にした
13 ♪の国のアリス
14 時空ツアーズ
15 リズムとメロディの為のバラッド
初回盤DVD
No. タイトル
1 春がキミを綺麗にした [Music clip]
2 ライスとぅミートゅー [Music clip]
3 竹達彩奈2012~2013 apple symphonyまでの歩み

 
2013年4月10日発売 ポニーキャニオン 60分10秒 ★★★★★

2013年勝手にアルバムランキング1位ということでこの作品。要約すると2013年一番ハマったアルバムでした。6300円という踏絵をタワレコポイントも若干駆使して乗り越え、当選したバースデーライブにも参加しに東京へ行ったのは良い思い出。そこまで竹達ワールドに引き込まれていったのはあずにゃんやリーファでもなくこの作品がキッカケだった。

CD
まず提供陣が豪華。「Sinfonia!Sinfonia!!!」を元Cymbalsの沖井礼二、「Yes-No」「♪の国のアリス」を末光篤、「G.I.W.」「春がキミを綺麗にした」を川本真琴、「HIKARI」を奥華子が提供。演奏も「ナナナナンバーワン」を除いた全ての楽曲で沖井礼二、小林俊太郎を中心にしたミュージシャンのバンド演奏を起用。小沢健二のサポートを務めていたというミュージシャンが久々に共演、「G.I.W.」は川本真琴がデビュー前に創っていた楽曲の提供という音楽ファン眉唾モノのトピックが満載。ここ最近音楽活動で色濃いコアな音楽ファンウケ要素を狙う声優さんは増えたけど、まさか竹達さん運営がここまで本気をだすとは…。

そしてアルバム全体も非常にポップで可愛い。きゃりーぱみゅぱみゅの如くいきなり自分の世界に引きずり込むように開幕し、実質1曲目の「ライスとぅミートゅー」はいきなり徹底的にお肉賛美「あいらぶびーふ!」とか「L・O・V・E・N・I・K・U!」「キタコレキタコレ」とか飛び出すというトンデモソングになっているが、決して打ち込みで露骨な電波ソングにせずに全編バンド生演奏アレンジなのが絶妙に奇妙でいい味。「Sinfonia!Sinfonia!!!」はゴージャスな演奏と竹達さんのふわふわキュートさを全面に押し出した極上のポップソングで、これがこのアルバムの楽曲の基本軸になっている。川本真琴や奥華子の提供曲ではご本人の歌声をインスパイアしてみたりと声優としての技量も潜ませてみたり、電波ちっくな曲から王道ポップス、「HIKARI」のようなストリングスバラードまで押さえていたり。彼女本人の歌のガタガタさが聴く人を選んでしまうかもしれないが、それも含めてどこまでも竹達ワールドな世界観ゴージャスなバンドポップスが奇跡的に絶妙な融合。その上で竹達さんの可愛さをポップスに完全昇華させていて凄まじい。アイドル声優として極上のポップスアルバム。アイドルポップス好きな自分にとってはたまらぬ一作だった。

DVD
PV2曲にメイキング。2曲ともYouTubeに公式動画は上げられているが、「春がキミを綺麗にした」では後ろの方の演奏メンバー役で川本真琴ご本人が特別出演というプチ要素も。メイキングドキュメンタリーはCDデビューから各リリースイベント、舞台裏、アルバム制作と約1時間てんこ盛り。実質今までの活動を繋ぎあわせたような作りなのであまりドキュメンタリー的な面白さは無いが、これまでの記録としては文句ない内容になっていると思う。あとバックミュージシャンの沖井さんや小林さんはイベントやライブでもMCに参加したりよく目立つことが多いようなので、これからイベントやライブに参加するファンにとってもいい予習になるかも。

ブックレット
全3シングルのPVやジャケット撮影の写真や、竹達さんご本人執筆の楽曲紹介セルフライナーノーツ。楽曲制作背景や思い入れを1曲ごとに語っていて必見。大判なジャケットに合わせて大判なブックレットになっているので見応え満点。DVDと併せて余すところなくこの「apple symphony」を楽しめるように作られていて満足。CD本編ならずトータル面含めての2013年最高傑作アルバムだった。これからもこのぐうかわ竹達ワールドを追いかけていきたい。

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