金田一少年の事件簿 File.12
「蝋人形城殺人事件」

あらすじ
定期テストをイカサマで乗り切ったのも束の間、明智警視から挑戦を受けてバルト城ミステリーツアーに参加することになった一、美雪。そこに集結したのは古今東西海外で名声を集める一癖も二癖もある名探偵達だった。蝋人形を飾る怪しげな洋館で何事も無く繰り広げられたミステリークイズだったが、その初日の夜、見つけられたのは背中にナイフを刺された蝋人形と全く同じポーズで息絶えていた参加者・当麻恵の死体―――!これを皮切りに次々と蝋人形に見立てて殺されていく参加者。謎の美人女性、参加者同士に怪しい繋がり?そして明智警視の行動に謎。まさか彼が犯人…?

登場人物

 

序盤に朝基という(今作も今後も一切本編には絡んでこない)究極のギャグキャラを生み出しながら、仰々しい雰囲気の中鳴り物入りで始まった長編大作。ドラマ版観た人にも拷問器具によるリチャード串刺し殺害がトラウマになってる人が多いと思うけど、多種多様の名探偵が蝋人形の館に閉じ込められる…というシチュエーションが金田一少年史上最高にホラーでミステリー。おどろおどろしい空気が出ているのは今作が一番。その空気のまま絶妙なテンポで起きていく連続殺人(第1の殺人を4話まで勿体ぶる芸当なんて今は無理だろうな…)次第に明かされていく明智警視と犠牲者達の繋がりの謎や、最後まで人間かどうかも危ういレベルで正体不明だったマリア・フリードリヒとかもう本当に作者キレッキレであった。

 

前々作「金田一少年の殺人」で味方サイドに転じた明智警視はこの事件で完全に2番手主人公に。カマセ探偵はコロンボ君に任せて父の追っていた事件を追うために…というあの決めつけドヤ顔誤認捜査警視様はどこへ行ったのかという超絶正義感っぷりが明かされる。本当に「雪夜叉」って何だったんだってばよ。さとう先生は寝顔のシーンを描いてる時に彼の美形っぷりに目覚めたらしく、明智警視はここからも更なる進化を次々遂げていくこととなるのである…!(何だこれ)

 

そして真犯人。この事件のトリックを生んだのは動機となった、数々の不可能犯罪のトリックを計画して実際にリチャードらと「3億円事件」を起こしたという設定の殺された真犯人の恋人だった。「芸術犯罪」という言葉が出てきたり「このトリックは犯罪の天才だったあの人が作り上げた芸術」とか、今この言葉が現れると某天才(笑)犯罪コーディネーターの名がすぐに浮かぶけども、彼が登場する以前に「天才犯罪者による挑戦」を十二分に描き切っていた。ここ数年の金田一少年を取り巻く今の現状を観てるとこのシチュエーションがかなり輝かしく見えてしまう。その"芸術犯罪"に対する一の「違う!犯罪は芸術なんかじゃない!」は屈指の名言。個人的にこの設定も蝋人形城が金田一少年史上傑作の一つだと思う所以である。

★★★★★

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